米PGAツアーの試合は、観戦するわれわれに対して本当にドラマティックな場面を提供してくれる。フィクションでもこんなにうまくは描かないだろうという試合展開を時に見せてくれることがある。
先週おこなわれた「バルスパー選手権」で優勝をきめたイギリスのマット フィッツパトリック(Matt Fitzpatrick,31歳)がまさにそうだった。フィッツパトリックはその前の週におこなわれた「プレーヤーズ選手権」の最終日、リードしていながら追いつかれてプレーオフとなり、その1ホール目でボギーをたたいてキャメロン ヤング(28歳)に敗れた。そのショックを引きずっていてもおかしくないフィッツパトリックが、リベンジとばかり翌週に優勝を果たしたのだ。
「プレーヤーズ選手権」の最終日、フィッツパトリックは同じ組でまわるヤングに追いつかれ、最終ホールで9フィートのパットをはずしてボギーとし、パーであがったヤングに優勝をさらわれてしまった。
フィッツパトリックの立場であればふつう、少しでも早くこの場を去りたい気持ちで、同伴競技者やキャディーと形だけのあいさつをかわしてグリーンをそそくさと後にするところだろう。しかし、フィッツパトリックはヤングとそのキャディーのみならず、グリーン周りに控えていたヤングの妻と両親にもあいさつして祝福の言葉を伝えたのである。
その行為の理由をあとで聞かれてフィッツパトリックは「両親からそのように育てられてきたからだ。」と答えた。フィッツパトリックが2012年の「全米オープン」で優勝した瞬間、グリーンそばで見守っていたお父さんはフィッツパトリックのそばを通りすぎて、同伴競技者だったウィル ザラトリスのもとに行き、手をとって健闘をたたえた。
勝負に敗れくやしさがこみあげてくるなかでも、勝利した相手と握手をしてそのプレーを讃える。そうするように育てられたフィッツパトリックのスポーツマンシップに勝利の女神がほほえんでくれたのだろうか。フィッツパトリックはこの優勝で、世界ランキングの順位を15位から6位にあげた。以下の動画は最終ホールでパットを決めクラブハウスリーダーとなった瞬間。
