先週の男子プロツアーは、中国上海でWGC-HSBC選手権が開催され、ローリー・マキロイが優勝したことはお伝えしました。 同じ週に米ツアーでは公式戦バーミューダ選手権が開催され、ブレンダン・トッド(Brendon Todd)選手が優勝しました。
WGC(世界ゴルフ選手権)は大きな大会なので、世界ランキング上位の有力な選手がこぞって参加します。その週に同時開催される大会は、有力な選手が不在となるため、ふだん上位に食い込むことが難しい選手にとっては、またとない機会となります。
ブレンダン・トッド選手もそんな選手のひとりで、チャンスを生かし見事優勝しました。しかし、彼がこの優勝まで歩んだ道のりは、とても長いものでした。2014年にPGAツアーで1勝した後、イップスに悩まされるようになり、それを克服しての優勝です。
彼のイップスは、スイングするとボールが目標のラインよりとんでもなく右に行ってしまうというもので、もうゴルフをやめようと考えた時期が何度もあったといいます。
そんなときに、ある人から大リーグベースボール、リック・アンキール(Rick Ankiel)選手の
書いた自伝を紹介され、この本からメンタル面において大いに学んだと試合後の記者会見で述べています。
カージナルスのリック・アンキールという選手ですが、投手として暴投が収まらなくなるイップスに悩まされ、1イニングに5つの暴投を投げ、その後ファームに落ちました。
ピッチャーを断念し、野手として再起を賭け、再びメジャーリーグの舞台に戻ってきた最初の試合が以下の動画です。
よくプロスポーツ選手が、「自分のプレーで、見てくれている人に夢や感動を与えたい。」と言うのをよく聞くのですが、試合の中のひとつやふたつのプレーでは、いつまでも心に残るような感動を与えることは無理でしょう。このアンキール選手のような“生きざま” どん底から這いあがってくることこそが、人の心を打ち、感動を与えるのだと思います。
ゴルフのイップスの話に戻りましょう。多くのプロ選手が悩むのは、短いパットをはずしてしまう、パットを打つ手が動かなくなってしまうというものです。われわれウィークエンドゴルファーが、「あー 4パットしちゃった。へへへ。」みたいな態度でパットしているのとは訳がちがいます。
このパットはどうしても決めなくてはならない。このパットを入れれば予選を通過して賞金がもらえる。優勝戦線に踏みとどまれる。来季のシード権を得ることができるという大事なパットを打ち、決めなくてはならない。大きなプレッシャーです。そんなプレッシャーを何度も経験することが、選手のこころにどう影響するのはわかりませんが、ある選手はパターイップスとなってしまいます。黄金世代ゴルファーのひとり大里桃子選手のそのひとりです。
リック・アンキール選手の本は、以下のサイトで購入可能です。大里選手はまだ若いので、いずれ米女子ツアーでプレーするという気持ちがあるかもしれません。そのときのために英語の勉強を兼ねて一読されてはいかがでしょうか?