欧州ツアー競技 サウジ・インターナショナル

11月27日のブログで、欧州ツアー競技で中東サウジアラビアで開催される「サウジ・インターナショナル」について触れました。来年1月30日から2月2日まで開催されるこの大会に、フィル・ミケルソンが出場すると大会事務局より発表がありました。

前回この大会を優勝したダスティン・ジョンソン、世界ランキング1位のブルックス・ケプカ、同16位のトニー・フィーナウ、17位で昨年マスターズを勝ったパトリック・リードなどがすでに参加の意思を表明しています。

今回が開催2回目の大会となり、サウジアラビアにとって初めての欧州ツアー大会ということもあって、今後サウジアラビアでゴルフがどう成長、発展していくのかを大きく左右する大事な大会です。

しかし、昨年の初回大会の少し前に、トルコのサウジアラビア領事館で、サウジアラビア人ジャーナリストが殺害される事件が発生し、サウジアラビア皇太子の関与が強く疑われました。そのため、今回主力選手の中には、人権、言論の自由を保障していない国が主催する大会ということで、参加を見合わせる選手も出てきました。

そんな中での、フィル・ミケルソンの出場表明です。「サウジ・インターナショナル」が開催される日時は、米PGAツアーの「ウエスト・マネジメント・フェニック・スオープン」とちょうど重なる日程で、フィル・ミケルソンが「サウジ・インターナショナル」の方を選択したことが波紋を呼んでいます。

というのは、フィルはカリフォルニア州出身で、となりの州にあるアリゾナ州立大学を卒業し、このアリゾナ州フェニックスで開催される「ウエスト・マネジメント・フェニックス・オープン」では、過去1996年、2005年、2013年と3度優勝し、1992年の大会から今年2月の大会までプロとして連続27年間出場し続けた大会で、とても思入れのある大会です。

そんな大会を欠場し、サウジ・インターナショナルでプレーすることを決心したフィル・ミケルソンの胸中はどんなものなのでしょうか?

今も人気、実績があるフィルですが、1970年6月16日生まれで、来年の6月で50歳となり、シニアツアーの仲間入りの歳になります。米PGAツアーで歴代9位となる44勝をあげ、メジャー優勝5回という輝かしい経歴で、2012年にはすでにアメリカの「ゴルフ殿堂(World Golf Hall of Fame)」入りを果たしています。

2013年の全英オープンで優勝して以降、長い間勝ちがありませんでしたが、昨年3月WGCメキシコ選手権で優勝、今年2月のペブルビーチ・プロマアで優勝しました。しかし、26年間も維持し続けた、世界ランキング50位以内というポジションから先月落ちてしまい、今週は58位となっています。

50歳を過ぎると、米PGAツアーで優勝することは、気力、体力の両面から本当に難しくなります。その節目にだんだん近づいてきたフィル・ミケルソンの心境は、まだまだ若い選手相手に十分やっていけるという気持ちと、正直言ってだんだん若い選手と競うことがつらくなってきているという思いが交錯しているのではないでしょうか。

出場するだけで、順位にかかわらず優勝賞金を上回るアピアレンスフィー(出場料)を受け取ることができます。フィルの知名度からすると、間違いなくその金額は100万ドル単位となります。それと同時に、今まで訪問したことがない国に行って、そこのゴルフコースでプレーしてみたいという新しいものへの好奇心のような欲求に抗えなかったのかもしれません。