今年もあと10日と押しせまってきて、ゴルフ界でも今年活躍した選手の表彰式がおこなわれています。一昨日(19日)、日本ゴルフトーナメント振興協会の表彰式がおこなわれ、金谷拓実選手はアマチュアとして4人目となる日本男子プロツアーで優勝し、特別賞を受賞しました。
ご存じのように、現在男子プロゴルフ界は低迷しています。バブル時代に、尾崎3兄弟、中嶋、倉本といった選手達の活躍で絶大な人気を誇りましたが、バルブ経済がはじけ、ぜいたくなスポーツにみえるゴルフは敬遠され、また、その当時の人気を支えていたファン層の高齢化がどんどん進み、停滞の一途をたどってきました。
途中、石川遼選手が出てきて大きく復活し、彼がアメリカに活動の舞台を移すと停滞し、松山英樹選手の登場で盛り返し、彼が米PGAでプレーし始めるとまた、男子ゴルフは低迷しています。いつ現われてくるかわからないスーパーヒーローだのみの状況を繰り返しています。以下の記事の冒頭にあるように、今や男子プロゴルフのギャラリー数は、女子プロの3分の1以下という惨状です。
https://www.sankei.com/premium/news/191220/prm1912200010-n1.html
こんな状況だから
https://news.golfdigest.co.jp/news/jgto/article/111590/1/
の記事にあるように、日本ゴルフツアー機構(JGTO)会長である青木功さんが、金谷選手に大学なんか行っていないで、早くプロとして活躍するように勧めたりする。しかし、この発言は金谷選手個人の将来のことまで真剣に考えた上での発言とは思えず、低迷する日本男子ゴルフ界をなんとか救いたい、そのための救世主がぜひ欲しいという気持ちのほうが強いと感じます。
金谷選手の心境が、本日の地方紙(中国新聞)に以下掲載されています。
現在でも決めかねて、本当に悩んでいます。
プロゴルフの世界は、お金の面では非常に厳しい世界です。プロ野球のように、ある球団に入団すると契約金というかたちで一時金が入ってきたり、複数年契約を結ぶことで、今後数年にわたって年俸(年収)が保証されることはありません。日本ツアーでプレーしようと、米PGAツアーでプレーしようと、試合に出場する資格が与えられるだけで、将来に対する金銭的な保証はまったくありません。本人がトーナメントが開催される街に自費で行って、試合に出て、予選に通過して初めて、順位に応じた収入を得ることができます。予選を通過しても、上位に食い込まなくては、旅費、ホテル代などの経費を払った後、あまりお金は残りません。
もし金銭的保証があるとしたら、それは本人が自分の人気と知名度をあげて、いろいろな会社とスポンサー契約(コマーシャル出演)を結ぶことだけです。しかし、人気というのは、本人がもって生まれてきた要因に大きく左右されるところがあるので、だれもが人気者になれるわけではありません。そうすると知名度を上げるために、勝利を重ねるしか方法はありません。
こんなに厳しいプロゴルフ人生なので、金谷選手には男子プロゴルフ界の現在の低迷など気にすることなく、自分のこと、自分の将来だけを考えて決断してほしいと思います。男子プロゴルフ界の将来を考えなくてはならない人は、青木功さんをはじめ他にたくさんにいます。また、日本男子ツアーに関する提言については、12月10日のブログにある記事をご一読ください。