最近一部の選手のスロープレーが問題となっており、米PGAが新たな対策を発表しました。スロープレーは、プレーしている本人を利するのみで、ギャラリーにとっても、テレビで観戦している人にとっても、一緒にラウンドしている同伴プレーヤーにとっても、けっしていいことではありません。
その対策の内容とは
- 監視リスト(observation list)の作成
いままでは、スロープレーは前の組との間隔があいた“組”を対象としていました。しかし、この監視リストでは、PGAで採用しているショットリンク(Shot link)― トーナメント期間中プレーするすべての選手の一打一打をリアルタイムに計測、集計するシステム -によって、プレーがとても遅いと判断された選手“個人”も対象とします。この監視リストに載った選手は、すべてのショットを60秒平均で打っていかなくてはなりません。ルール協議員がその制限時間を超えていると認めた場合、その組が前の組より遅れていない場合でも、その選手には係員がつき計測の対象となります。このリストは公開されませんが、リストに載っている選手には週ごとに伝えられます。
- 制限時間を超えるショット時間(Excessive Shot Times)
正当な理由がなく、一打打つのに120秒以上かかった選手には、Excessive Shot Timeという罰が与えられる。
さらに、スロープレーに対する罰金と罰則が大幅に強化されます。ラウンド中ではなく大会中に2度目のExcessive Shot Timeを犯した選手には一打罰が課せられ、その罰金は現在は5000ドルであるが、1シーズンで50000ドルとなる。
今は選手からの問い合わせなどを受け付け、このルール変更が正式に適用されるのは、マスターズが終了した翌週に開催されるRBCヘリテージ(RBC Heritage)からとなります。
現在、米ツアーでプレーが遅いという評価を受けている選手は、ジョーダン・スピース、ジェイソン・デイ、ケビン・ナー、JBホームズ、ブライソン・デシャンブー、キーガン・プラッドリー。そして松山英樹選手もその名が挙がっています。
一打打つ前にどれくらいの時間をかけるか? コースレイアウト、距離、風、ライ、芝質など考えなければならない要素はたくさんあり、納得できるひとつの結論を出すまでにどれくらいの時間が必要かという問題は、プレーヤー本人の性格、気質とも深く関係しています。新しいルールを導入したからと言って、すぐに解決できる問題ではないと思いますが、米PGAが「スロープレーは許さない」という姿勢を明確に打ち出して、徐々に変わっていけば、将来そこを目指して日々研鑽を積んでいる世界中の若い選手も、一打にかける時間を少なくするようになっていくような気がきます。