アメリカでPGAツアーとは異なる新リーグ構想(Premier Golf League)の話が持ち上がっています。限られた48名の選手が1月から9月の間に18試合のトーナメントをおこない、リーグ優勝者を決めるというもので、トーナメントあたりの賞金総額も今より大きくなります。
この構想については、今週のPGAツアーの選手会ミーティングで説明があり、PGAコミッショナーのジェイ・モナハン(Jay Monahan)も参加して、発言をしています。ローリー・マキロイ、タイガー・ウッズ、ジャスティン・トマス、ジャスティン・ローズらトッププレーヤーには数年前から話がもちかけられていましたが、今週の大会「ファーマーズ・インシュアランス・オープン」中、メディアの取材に対して、はじめて正式に選手の立場でローリー・マキロイがコメントしています。
現在の米PGAツアーの競技は、世界中のプロ資格をもつすべての選手に門戸が開かれています。その大会の週の月曜日の予選会マンデイ・クオリファイアー(Monday Qualifier)を含め、出場資格を得た選手は出場して、プレーすることができ、予選を通過すれば高額な賞金を手にすることができます。もし優勝すれば、1億円を超える賞金を獲得し、最低2年間のシード権を得ることができます。メディアの取材も殺到し、一夜にしてその後の人生がまったくかわってしまいます。
世界中から無名の若きゴルファーが、世界最高の舞台であるPGAで活躍するという夢を抱いて、アメリカに渡りツアーでプレーする資格を得る。そして念願であるツアー優勝を果たす。巨額の賞金を手にする。一躍時の人となる。ワンチャンスをつかんで、アメリカンドリームを実現させるという、まさにサクセス・ストーリーです。しかし問題は、米PGAツアーは競争が厳しく、そんな選手の多くは2勝目、3勝目をすることもなくツアーから消えていき、新しい若い選手と交代し、やがて皆の記憶からも消えてしまいます。
試合を見るためにゴルフ場に足を運ぶギャラリー、テレビの前で観戦する視聴者にとっては、無名の選手が最終日活躍し優勝したとしても、自分たちが知らない選手なので、あまり興味もわかないし、特別な感情も湧かない。よく知った選手が優勝すれば、周囲の人といろいろと話をして、盛り上がることもできるが、それもできない。やはり、自分たちがよく知っている選手が上位で優勝争いをすることが、楽しみであり、喜びとなる。そんなファンが増えれば、会場へのギャラリー動員数が増え、視聴率も上がり、プレーする人の数も増えて、ゴルフ人気を大きく支えてくれることになる。
リーグ戦というのは、プロ野球、サッカー・リーグのように少数に限られたチーム、選手だけで対戦する試合形式となります。観戦する人の中に、チーム名を知らない人はいないので、「なんだ?このチームは、知らんぞ」ということはおこりません。選手ひとりひとりの情報、最近の活躍を知って、チームの動きもつかんだ上で試合を観戦しますので、安心した気分で観戦することができます。プレミア・ゴルフ・リーグ(Premier Golf League)構想のねらいはここです。
この構想は、2022年か2023年からの導入が検討されていますが、まだ紆余曲折が予想されるので、今後の動きに注目していきましょう!