フィル・ミケルソン

今週の米PGAツアーは、「AT&Tペブルビーチ・プロアマ(AT&T Pebble Beach Pro-Am」がカリフォルニア州で開催されており、フィル・ミケルソンが予選2日を終えて3位タイと好位置につけています。

昨年のこの大会の覇者であるミケルソンですが、その後は思うような成績があげられず、長年キープしていた「世界ランキング50位以内」からも落ちてしまい、「プレジデント・カップ」のメンバーからもはずれ、今年に入って米ツアーの「The American Express」と「Farmers Insurance Open」を2週連続予選落ちし、記者会見では、今年6月16日に50歳となる彼に、シニアツアーへの関心などの質問が投げかけられていました。

しかし、その翌週(先週)サウジアラビアで開催された欧州ツアー「サウジ・インターナショナル」に出場し、何かをつかんだのか、3位タイの好成績を収めました。世界ランキングを86位から76位まで戻し、その好調さが今週の「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」でも続いています。

もうすぐ50歳になる彼ですが、まだ果たせていない大きな目標があります。いままでにマスターズは3度、全米プロ選手権、全英オープンを1回ずつ優勝していますが、「全米オープン」だけは勝てておらず、「生涯グランドスラム(career grand slam)」を達成していません。いままで、ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズという名だたる選手しか達成していない「生涯グランドスラム」に王手をかけた状態です。過去2位(2位タイ含む)に6回なりながら、優勝できませんでした。その中で1番有名なのは、1999年の大会でペイン・ステュアート(Payne Stewart)の劇的パットで敗れたときです。その直後ステュアートは、今回のコービー・ブライアントのようにプライベート飛行機事故で死亡しています。

6月に開催される「全米オープン」ですが、現在出場資格がないフィル・ミケルソンに、大会側が彼のいままでの業績に報いるため、過去アーニー・エルスにそうしたように特別参加資格を与えようと打診しましたが、フィルはそれを辞退しました。彼にはそれが、業績に報いるためというよりも同情からの申し出と感じるようです。たとえ年老いたからといえ、いままでに数々の優勝を重ねたからといえ、プロに情けは不要!といった気持ちでしょうか。

とはいうものの、自力で全米オープンに出場する資格を得るためには、世界ランキング60位以内に入る必要があります。フィルが60位以内に入るためには、大きな大会で優勝するか、レギュラーツアーの大会を2つ以上勝たなくてはならず、彼にとってはとても厳しいものです。もうひとつの方法は、全米オープンの地区予選を勝ち抜いて資格を得る方法ですが、フィルはこの方法も並行しておこなうかもしれません。