USGAとR&Aが先週発表した「飛距離の伸びをこのまま許しておくことは、ゴルフというスポーツの成長と発展にとってよくないことである。何か対策を講じなければならない」というレポートについて各選手がいろいろ意見を表明しています。
タイガー・ウッズは、選手であると同時に、コースの設計、建造にも携わっており、コースを新しくつくる場合の土地の取得費用、コース造成費用、完成後の維持運営費が増大している現実も理解しています。将来プロのトーナメント開催を念頭に置いた場合、コースはバックティーから7800~8000ヤードの距離が必要となります。(ちなみに今週の米ツアー「The Genesis Invitational」のコースは全長約7300ヤードです。)彼は、規制のない通常のトーナメントと距離を抑えたボール、クラブを使用した大会の併存を認めるというUSGAとR&Aの提案には、かなりの時間を要するだろうけれども、賛成であるとしています。
フィル・ミケルソンは、「プロゴルファーが、筋トレ・フィットネスなど努力して、パワーやスキルを向上させようとしていることに対して、それが罰せられたり、意欲をそぐようなルール変更はよくない」という立場です。今年50歳になるミケルソンですが、最近自らのフィットネスの様子をSNSで紹介し、この年にしてヘッドスピードが上昇していると報告しています。クラブやボールの問題ではなく、選手が飛距離を出すためにどうすればいいかという問題であるという意見です。
米PGAツアーでドライバーの平均飛距離が195位、身長が178センチと小柄なピーター・マルナティ(Peter Malnati)選手の言い分は、「ボールやクラブの進歩によるドライバー飛距離の伸びは、大柄でパワーのある選手により顕著にみられる。ヘッドスピードの上昇に飛距離が正比例しているのではなく、それ以上に伸びている。飛距離の出ない者のわがままと思われるかもしれないが、すべての選手に対して飛距離を10%抑えるような対策は、今後のゴルフ界のためにはいいことだと思う。」
最近、腰の怪我から復調したジェイソン・ディ(Jason Day)は、「ゴルフは、自ら楽しむ人がいて、コースにギャラリーがたくさん来て成り立つエンタテイメント・スポーツである。その中でドライバーショットが一番、ギャラリーを沸かせるし、アスレチックな能力を存分に発揮できるのだ。その飛距離を抑えるということには賛成できない。」
ゴルフは、柔道やレスリングのように階級別に競う競技ではなく、フィールドはひとつです。ですから、ドライバーの飛距離を規制しようという動きについて、大柄でパワーのある選手は反対し、小柄で飛距離の出ない選手は総じて賛成に回りがちです。この問題は非常に大きな問題で、紆余曲折も予想されるので、今後も引き続きレポートしていこうと思っています。