米PGAツアーで活躍する選手の中に、ブライソン デシャンブー(Bryson DeChambeau)という選手がいます。テキサス州サザンメソジスト大学(Southern Methodist University)卒の26歳で、学生時代の2015年には「全米アマ」のタイトルを獲得しているすばらしい選手で、米ツアーでもすでに5勝をあげています。
以下の動画の下のほうの選手です。なぜか一緒についてきた上の選手はジムヒューリック選手の動画です。あしからず。
彼は大学で物理学を専攻し、その身につけた学問をゴルフの世界に生かしている、ある意味革命児、天才と呼んでいいような存在です。よく知られているのは、彼のアイアンはすべて同じ長さで、ロフトの角度だけが異なります。そのロフトの角度も自分で計算しました。すべてのアイアンが同じ長さであるということは、アイアンのスイングはすべて同じでいい、たったひとつでいいことになり、スイングをシンプルにすることが可能です。
われわれアベレージゴルファーもシャフトが長くなれば、スイングの軌道精度が落ちるので、9番アイアンより5番アイアンのほうが打ちにくい、3番アイアンなんかとっくの昔に捨ててしまったということになります。
また、彼はブリジストンとボール契約を結んでいる選手ですが、メーカーより届いたボールをひとつひとつチェックし、合格したものだけを試合で使用します。そのチェック方法は、
まず溶剤を溶かし込んだ水にボールを浮かします(本当に浮きます。塩分濃度の高い海で人の体が浮くのと同じ理屈です) つぎに水面で少しボールを回転させます。しばらくするとボールが静止します。水面に浮いたボールの中で一番高い部分に印をつけます。もう一度回転を加えます。静止したところで一番高い部分を確認します。この作業を数回繰り返して、もし印をつけたところがきまって上にくるようであれば、そのボールは不合格となります。
もし、ボールの3次元的な重心が、本当にそのボールの中心にあったとしたら、水に浮いたボールが静止したとき、一番高い点となるところはまったく定まりません。ボールが回転する勢いを失った時に止まり、一番高い点は任意の点となります。現実問題としては工業製品として大量生産されるボールの重心が、理論上の重心の位置と一致することはありませんので、彼がどれだけ許容するのかはわかりませんが、過去のどのプレーヤーもいままでおこなってこなかったことです。
打ったボールが曲がるとき、プレーヤーが意図的に曲げようとした場合と、フェースの向き、あるいはスイングの軌道がずれた場合が考えられますが、それ以外に、使用していたボールが実は不良品で、重心が大きくずれていたために、おもいとはまったく異なった弾道を描くことが考えられます。このリスクを取り除くため、使用するボールをひとつひとつチェックする。デシャンブー選手、本当にすごいと思いませんか?
その彼が最近こだわっているのが、ドライバーの飛距離アップです。ドライバーの飛距離をのばすために、筋トレだけではなく、効率的に筋肉をつけるため高品質のプロテインを取り始め、205ボンドだった体重を将来的には270ボンド(121.5kg)くらいまで増やしたい考えです。
ドライバーの飛距離をアップさせるためには、とにかくクラブヘッドスピードを速くすることが大切であるとよくいわれます。ボールの初速度をあげるためには、よりスピードのあるクラブヘッドでボールを叩く必要があるといる考え方です。しかし、ヘッドスピードを上げれば上げるほど、クラブフェースがボールに当たった時の衝撃は大きくなります。その衝撃に負けることなく耐えて、ヘッドを振り切るためには、より大きく、強い腕と体が必要になってきます。これも理にかなっています。
最後に、彼はゲームおたくでもあり、SNSにその模様を公開しています。ちなみにキャラクターが手にしている戦闘道具はゴルフクラブです。
本日のおすすめ動画です。アフターコロナ時代のラウンドで、抜いた旗をどう扱うか? クラブヘッドで拾って、タオルをもった手でホールに戻す。参考になります。