PGAツアー大学

今年はコロナウィルスの感染拡大のため、ゴルフだけでなくすべてのスポーツにおいて試合が中止となりました。5、6月頃に卒業するアメリカの大学の4年生は、最終学年の一番大事な時期に活躍の場を完全に奪われてしまいました。そのためNCAA(全米体育協会)は、現在の4年生について、もう1年間競技参加資格を延長する決定をしたため、ゴルフに関しては、多くの選手が大学に残る選択をしました。

こういう事情も踏まえ予定をすこし早めて実施したのか、米PGAツアーは大学生(NCAA第一部所属大学の学生に限定)を対象とした「米PGA大学(PGA Tour University)」というプログラムを、今年の秋よりスタートさせることを発表しました。このプログラムによって、ランキング上位の選手には、ツアー参加資格が与えられます。

そのランキングは、世界アマチュアゴルフランキングをベースにして、3年生、4年生の時のNCAA主催の大会、米PGAツアーのトーナメント、メジャー大会などでの成績を抽出して算出します。上位5名には米PGAツアーの下部ツアー「コーン フェリー ツアー(Korn Ferry Tour)」のシード権を与え、6-15位の選手には、カナダのPGAツアー「マッケンジー ツアー」、「PGAラテンアメリカツアー」、「PGA中国ツアー」の中から、本人が希望するツアーのシード権を与えます。

アメリカのプロフットボールやプロバスケットボールの場合、大学4年生はドラフト制度を経てプロの選手になります。しかしゴルフの場合は、個人で競技するスポーツなので、所属するプロ集団というものがなく、大学卒業後は、職も収入もまったく保障されません。

そのため、学生時代にスポンサー推薦を受けてプロのトーナメントに出場し、好成績をおさめ、米PGAツアーのシード権を獲得するような特別な才能のある選手をのぞいて、大学卒業からツアープロの競技へ参加し、米PGAツアーのメンバーとしての地位を固めるまでに数年かかってしまいます。「米PGA大学」プログラムを創設することによって、優秀な選手についてはその期間をなくしていこうという方針です。プロのツアーでプレーする機会を多く与えることで、収入も得ることができるし、技術のレベルも向上します。

米PGAツアーが発展していく施策がつぎつぎと実施されていきます。