米PGAツアーは、「ロケットモーゲジクラシック(Rocket Mortgage Classic)」2日めが終了し、おもしろくなってきました。
首位に立ったのは、ウェブシンプソン(Webb Simpson)とクリスカーク(Chris Kirk)の2人(12アンダー)です。ウェブシンプソンは、2週間前の「RSB ヘイテージ(RSB Heritage)」で優勝。先週の「トラベラーズ選手権」は、家族にコロナ陽性者が出たため棄権しましたが、その後の検査で自身の陰性反応が続いたため今週は出場し、絶好調さを維持しています。彼の今季ドライバー平均飛距離は、297.5ヤードでツアー選手中104位と飛ばない選手ですが、ドライバーの飛距離全盛の時代の中で、しっかりと存在感を示しています。
クリスカークという選手は現在35歳で、2015年には米ツアー4勝目をあげ、その年のプレジデントカップのアメリカ代表にも選出されるトッププレーヤーでしたが、その後は調子を落としていました。そして、昨年の5月にプレーを休止して、アルコール依存症とうつ病の治療に専念すると発表しました。成績が低迷していったのには、理由があったようです。約6か月の治療を終えて昨年末ツアーに復帰しましたが、予選通過は1回のみ、予選落ちが5回の成績でした。
彼は、先々週の米PGAツアー「RSBヘリテージ」にエントリーしましたが、棄権した選手の代わりに出場できるというポジション(alternate)だったため、下部ツアーの大会「キング&ビアークラシック」へ出場することを選択して、なんとそこで優勝してしまったのです。
優勝した勢いをそのまま持続し、今週の大会「ロケットモーゲジクラシック」で、2日目終了時点で首位タイの成績です。ふつうはアルコール依存症になると、お酒を断って人生を立て直すだけでも非常に困難なことですが、そこにとどまらないで、プロスポーツに復帰して優勝してしまう。その復元力(カムバック力)というか、強靭な精神力というか、本当に感動してしまいます。
ボギーを叩いたあとのホールでバーディーをとることを、最近はバウンスバックと呼ぶようですが、そんなのはとてもちっちゃなもので、カークの生きざまは、本当に「人生のバウンスバック」と言ってもいいものです。あと2日間クリスカークのプレーに注目しましょう!