全英女子オープン 2日目終わって

女子今季最初のメジャー「全英女子オープン」の2日めが終了しました。2日間のプレーを通してアンダーパーでまわったのは、たったひとりだけという非常に厳しい気象条件で試合はおこなわれました。

ひとりだけアンダーパーで回り首位に立ったのは、ノルウェー人のダニ ホルムクビストという32歳の選手です。彼女にはまだ欧州ツアー、米ツアーで優勝の経験がないため、また首位から4打差の中に16人の選手がいるので、優勝のゆくえはまったく読めません。

このホルムクビスト選手については、とんでもない逸話がメディアで紹介されています。数年前「全豪女子オープン」予選会でプレーしていたときに、コース上で毒ぐもに足をさされてしまいました。足がみるみるはれてくるので、自らティーを使って皮膚を裂いて、毒と思われる液体を絞り出し、残り14ホールをメディカルスタッフ監視のもと、プレーし終えたというものです。このとっさの行動、メンタルの強さ、勝負への執念には恐れ入ります。もし彼女が優勝することがあれば、この話はもっと大きく報道されそうです。

また、1オーバーの4位タイの好位置にアメリカ人のリンゼー ウィーバーという選手が入っています。ツアー3年目の26歳の選手ですが、キャディーをつけずに自分でゴルフバッグを積んだカートを引っ張りながらプレーしています。

LPGAでは、コロナのために長期間ツアーが中断し、収入の道が閉ざされて経済的に苦しい立場の選手のため、自らバッグを担ぐことが特例として認められています。しかし、この厳しいコースコンディションの中、周囲からの助言も励ましもなく、4位タイという成績は立派というほかはありません。これもメンタルの強さと言っていいでしょう。

残念ながら、渋野日向子は予選落ちという結果に終わりました。昨年日本人選手として42年ぶりにこのメジャー大会に優勝し、日本中を熱狂させて、今回ディフェンディングチャンピオンとして臨んだわけですが、普通の大会でも連覇することは非常に難しいのに、ましてやメジャー大会です。本人も口にしていた「連覇」の期待は大きすぎるものだったのでしょう。

昨年渋野が優勝したコース(ウォーバーン)は、イングランドのほぼ中央に位置する林間コースで、今回のように海岸に面し、強風の吹くリンクスコースではなく、アメリカにあるコースのようなパークランドコース(遊園地コース、地形をそのまま生かすのではなく、人工的に美しく造ったコース)と呼ばれるコースでした。ですから今回と攻め方がまったく異なります。

4年前の2016年の「全英女子オープン」も昨年と同じコース(ウォーバーン)で開かれ、タイ人のアリア ジュタヌガンという選手がメジャー初優勝をしました。しかし、彼女も翌年の大会がリンクスコース(キングスバーン)で開催されたときには、渋野と同様に予選落ちしています。くじけるな、シブコ!