現地時間27日(金)、米PGAは欧州PGA傘下の番組制作会社の株を取得(過半数以下)したと発表しました。その目的は、欧州PGAツアーの大会のテレビ中継の価値を世界各国でもっと高めていくためです。
米PGAが基本的にアメリカ国内でトーナメントを開催するのに対して、欧州ツアーはヨーロッパ、アフリカ、中東、アジアなど世界中で試合が開催されています。欧州ツアーは今年の3月にコロナウィルスの影響で中断しました。ようやく7月にツアーは再開しましたが、試合は無観客で開催されています。
大会を開催しても観客の入場料収入がまったく見込めないため、今後運営していくためには、テレビの放映権の価値をマーケティングの力でもっと高めていく必要があります。いままでは欧州ツアーの制作部門が、開催国の放送局と個別に交渉していましたが、今後は米PGAの人材とノウハウが使用できるようになります。
欧州PGAは7月にツアーを再開させたのちも、トーナメントの開催に大変な苦労を強いられています。コロナのため各国間の移動制限が厳しくなったので、選手の移動負担を減らすため英国だけで6大会連続して試合を開催したこともありました。収入が大幅に減少し、コロナ対策のため追加の費用がかさみ、各大会の賞金総額も米PGAの大会の約5分の1という惨状です。
今後コロナウィルスがいつ鎮静化するのかまったくわかりませんが、業績不振を理由にスポンサーが撤退することも予想されます。国際観光客・ビジネス客の激減で、航空会社はいま深刻な経営危機に見舞われています。トルコで開催されている「トルコ航空オープン」のタイトルスポンサーのトルコ航空などは、今後大丈夫なんだろうかと思ってしまいます。
観客の入場料収入に頼らない大会の運営・維持という、新しいビジネスモデルの構築が今後ゴルフ界には求められるのかもしれません。