全米女子オープン

「全米女子オープン」が終わりました。最終日を2位に一打差の首位でスタートした渋野は、5ボギー2バーディーとスコアをのばすことができず、首位に2打差の4位に終わりました。

優勝は、ほぼ無名の韓国人選手A Lim Kimが入り、2位タイには現在世界ランキング1位の韓国人Jin-Young Koが入っています。A Lim Kimは最終日3バーディー、2ボギーでプレーを続けていましたが、上がり3ホールを3連続バーディーとして、一気に優勝を決めました。

このブログの下のカレンダーをクリックしてバックナンバー記事をご覧いただくとわかるように、12月6日のブログの中で、わたしは「全米女子オープン」優勝者の予想を韓国系選手としていましたが、まさにその通りとなりました。これで今年開催された4つのメジャー大会の中で3つの大会において韓国人選手が優勝したことになります。

この状況は韓国という国にとっては、国威発揚という意味で非常に喜ばしいことですが、LPGAなど主催者側にとってはあまり歓迎できることではありません。ゴルフという競技は、それ自体はもちろんフェアなスポーツで、実力のある選手が勝つ世界ですが、多分に興行的性格をもっています。レギュラーツアーの大会前には、スポンサー筋を集めてプロアマ戦が開催され、選手はお客さんと一緒にプレーします。また、選手は契約した企業が催すイベントに顔を出さなくてはいけません。それは顧客とのラウンドであったり、イベントの集客効果のためだったりします。しかし、その役割を韓国人選手(もちろん日本人選手であっても)が担えるかというと、それは非常に難しくなります。そうするとスポンサー企業は、営業戦略の中でLPGAの位置づけを見直さざるを得なくなり、LPGAを支えるスポンサーの数が徐々に減少し、今後LPGAの人気がかげってくるかもしれません。

今朝の朝刊に掲載されていた共同通信発の記事の中に、渋野選手が「(全英女子オープンの優勝)は多分偶然だったんだな」と自嘲気味に述べたと書いてありますが、けっしてそんなことはありません。昨年の「全英」だけならともかく、今回の「全米女子オープン」でも最終日最後まで優勝争いに加わったのですから、偶然だけのことではありません。

男子ゴルフの世界でメジャータイトルを一番多くもっているのは、ジャックニクラウスで18回優勝しています。彼は周囲からよく「メジャー大会で18回も優勝して本当にすごいですね。」と言われることがあり、そのたびに「そうはいうけど、じゃあ私が負けて2位に終わった回数が何回あるかご存じですか?」と必ず聞き返していたそうです。ニクラウスがメジャー大会で2位に終わった回数は、優勝と同じ18回あります。3位は9回、4位は8回です。

渋野選手については、昨年に続いて今年もメジャータイトルがとれるほど、他の選手と比べて実力があるわけではありません。しかし、今回最終日首位からスタートして優勝争いができたことで、「全英女子オープン」の優勝は本人が言うような単なる偶然ではなく、メジャータイトルが狙えるポテンシャルがあることをはっきり周囲に示すことができたと言えるでしょう。ニクラウスはメジャー大会で4位に8回なっています。まだまだ足りない!ガンバレ、シブコ!