昨日、5月に開催されるメジャー大会「全米プロ選手権」で距離測定器の使用が認められたという話を書きました。この米PGAの発表についてさまざまな意見が発せられています。
その中に、キャディーの一番大切な仕事のひとつを奪うものだという意見があります。フェアウェーに打ったボールに関しては、選手はヤーデージブックに記載されている距離情報でほとんど用は足せるけれど、フェアウェーを大きくはずれたところに打ったボールについて現在はキャディーが歩測で測定してくれている。しかし、測定器の使用が許されればキャディーが歩測する必要がなくなるというものです。
プロゴルフにキャディーは当たり前というところから、プロゴルフというスポーツを他のプロスポーツとちょっと比較してみます。ゴルフの場合、次に打とうとするショット、パットについて帯同するキャディーよりいろいろな助言をもらい、それを参考にしてプレーをおこないます。
しかし、助言を参考にしてプレーしたら思っていたところへボールが飛んだ、長い難しいパットが入ったとします。でもそれは本当に本人の力なのだろうか。仮に選手が優勝したとして、それは果たして本人の実力なのだろうかという疑問が湧いてきます。
確かに他のプロスポーツでもプレー中にコートの外からアドバイスや指示が飛んだり、試合が中断しているときに助言をもらうことがありますが、プレー自体はどの局面においても選手が自ら判断してプレーをおこなうはずです。
しかし、プロゴルフの場合、仮にパットのラインを読むことをとってみると、まず選手がラインを読み、次にキャディーが読んで、一致すればそのまま打つでしょうが、もし判断が異なればすり合わせをおこないます。そうやって打ったパットがカップに入ったとしても、それは選手の力なのでしょうか?
プロゴルフの世界には、優勝請負人と呼ばれるような実績と経験を積んだ有名なキャディーがいます。彼らは、距離を測定し、グリーンのラインを読むこと以外に、試合中の選手の気持ちをポジティブな方向へ向かわせる役割も担っています。選手がミスを重ねたときにどういう言葉をかけるか、反対に3連続バーディーをとった時のように有頂天ぎみになっているときにどう気を引き締めるか、勝負のかかった大事な局面でどんなアドバイスをするのか?そのような場面でキャディーからの適切なアドバイスがあったからこそ優勝できたというケースは多数あるはずです。
ここでわたしの大胆な未来予想をおこないますと、距離測定器の使用を許可することを手始めに、将来的にはプレー中キャディーに対してアドバイスを求めることを禁止する方向に進んでいくのではないかと。でも、キャディー禁止にはならないと思います。ツアープロがバッグを自ら担いで、打ったあとディボットをもとに戻したり、バンカーをきれいに直したりしているとプレーの進行が大幅に遅れてしまいますし、プロ選手の華が失われてしまいますから。
選手がプレー中にキャディーからプレーに関するアドバイスを受けることを禁止してこそ、ゴルフが他のスポーツのように、自分のプレーについて自ら判断し、クラブを振る100%自己責任形スポーツになるのではないでしょうか?