今週の米PGAツアー「ペブルビーチプロアマ」に小平智が出場していましたが、カットラインに1打足らず予選落ちをしました。小平は今シーズン11試合に出場して6回予選落ちし、予選を通過した試合の中では「ZOZO選手権」の35位タイがベストの成績です。予選をそこそこの順位で通過しても、土日のラウンドでだんだん順位を落としていくパターンが続いています。
彼が米PGAツアーで初優勝したのは、2018年5月の「RBCヘリテージ」だったので、ツアーカードの有効期間(2年間)は、2020年4月まででした。しかし、コロナの影響で延長になって2021年4月までとなっているではないかと思います。そうだとするとあと2か月余りしか残っていないことになります。
彼の米PGAの成績をデータでみると以下のとおりで、非常に厳しいものです。
ドライバーの飛距離 285.3ヤード 212位
フェアウェーキープ率 68,93% 21位
パーオン率 66.3% 168位
スコアの平均 71.822 167位
サンドセーブ率 51.16% 103位
シーズンポイントランキング 169位
世界ランキング 432位
フェアウェーキープ率が21位と上位にいますが、これは飛距離がでない分フェアウェーをとらえやすいということでしょうし、グリーンまでの距離が他の選手より残ってしまうのでパーオン率は168位と低迷する結果となります。スコアの平均が167位ということは、優勝争いに加われるだけのバーティーをとることができず、スコアを伸ばせないということになります。世界ランキングは、「RBCヘリテージ」を優勝した直後は27位まで順位をあげましたが、現在は432位と大幅に順位を落としています。
小平がもし米ツアーカードを失えば、米PGAの下部ツアーで戦ってポイントを稼ぎ、また米PGAにカムバックするという選択肢も考えられますが、おそらく日本に戻ってくるのではないでしょうか。米ツアーと日本ツアーの実力の差を考えると、スポンサー推薦で出場できる試合で優勝は十分狙えると思われます。
米PGAでプレーすることは個人事業主のようなもので、金銭的になんの保証もありません。プロ野球、プロバスケットなどは年俸制で、球団と1年間、あるいは複数年の契約を結び、その間の身分と収入が保証されますが、ゴルフはそうではありません。大会の賞金とスポンサーとの契約料だけでプレーを続けることになり、非常に厳しい世界です。
そのため現役を引退してから支給される年金の額が、他のプロスポーツに比べ大きく設定されています。どれくらいの期間PGAでプレーしたか、成績はどうだったか、何回予選を通過したかで、引退したあとの年金額が決まります。一説によると、米PGAツアーの試合を1回予選通過すると4800ドル以上の年金が支給されます。保証が何もない環境でよく頑張ったというごほうびのようなものです。
そんな厳しい世界であっても、自分の力を試してみたい、世界に挑戦してみたいという才能あふれる若者が、世界中から米PGAツアーに集まってきます。そんな若い力が米PGAを支えています。