マスターズを振り返って

4月6日のブログで今回のマスターズの優勝者予想をおこないました。その検証です。

https://worldgolfinformation.com/2021/04/06/

筆頭に挙げたのが、ジョーダン スピースでした。直前の大会「バレロテキサス オープン」で、2017年の「全英オープン」以来となる勝利を挙げて、優勝経験もある「オーガスタナショナルGC」に入ってきました。その勢いと実績から候補に挙げたのですが、結果は3位タイ。

次にスペイン人のジョン ラウムを挙げました。結果は5位タイ。初日から3日間連続して、イーブンパーの72であがり、最終日は優勝争いとは関係ない位置からスタートして、6アンダー66でホールアウトしました。あまりプレッシャーを感じることなく、いわゆる裏道街道を走って上位に食い込んだパターンでした。

最後のダスティン ジョンソンですが、予想屋が100人いて100人が予想できなかったまさかの予選落ちでした。勝負事なのでこのような大本命の予選落ちということは起こり得ます。昨年11月の大会のグリーンと今回のグリーンの状況の激変に最後まで対応できなかったのか、あるいは大会前に歴代チャンピオンが集う「チャンピオンディナー」のホストとしての務めがプレーの負担になったためか、連覇を達成することはできませんでした。

マスターズに関する余談をひとつ。通常のPGAツアーの大会では、予選を通過しなければ一銭も(1ドルも?)賞金を稼ぐことはできませんが、マスターズでは予選落ちした選手にもお金が支払われます。その金額は1万ドル。海外から選手をわざわざ招待しておいて、予選落ちしたら「ハイ、残念でした。」というわけにはいきません。交通費、滞在費用程度は主催者が負担します。

最後に松山英樹の優勝に関して。自分の考えというものをもっていない、あるいは表現することを恐れている日本のメディアは、アメリカの有力電子新聞がどう報道したとか、タイガーウッズがあるいはジャックニクラウスが、どうコメントしたという記事をさかんに報道しました。

しかし、今回の報道のかげにあるアメリカ社会でマイノリティー(少数派)であるアジア系人種に対する過剰な配慮といった側面を見逃してはならないと思います。昨年アメリカで起きた警察官による黒人への暴行事件に端を発したBLM運動、そして、ウィルスを中国人が世界中に蔓延させたという理由で、中国人を含むアジア系の人々に憎悪の矛先が向かっていることなどから、アメリカ社会は必要以上に人種問題に神経質になっています。そのため、マイノリティーの人たちの活躍にたいしては、けっして見逃すことなく、大きな賛辞をおしまないという姿勢です。

タイガーウッズがコメントしたことについても、彼はアメリカ黒人の父とタイ人の母の間に生まれています。ですから、本当なら彼が「マスターズ」を制した最初のアジア系アスリートだったと言ってもおかしくありません。

ゴルフというスポーツの中で、人種・性別の多様性をどう認めていくのか、とても大きな問題です。