現在われわれゴルファーは、2019年に改正(2020年実施)されたルールを守ってプレーしています。ゴルフルールが、その4年前の2015年に改正(2016年実施)されたとき、パットの際の「アンカリング」が禁止されました。長尺パターのグリップの先端を握り、こぶしを胸につけておこなうパッティングです。
当時アンカリングをおこなっていて、ルール改正とともにパットのスタイルを変更して現在もトップの位置で活躍している選手には、ウェブ シンプソン(世界ランキング9位)、アダム スコット(同35位)がいますが、2011年の「全米プロ選手権」を優勝したキーガン ブラッドリー(同134位)のようにパットの成績がツアー選手中194位と、いまだに復調できていない選手もいます。
アンカリングが禁止されて以降、長尺のパターの柄を胸に当てるのではなく、グリップの部分を(右打ちの)選手の左腕の内側に沿わせて密着させてパターをおこなう「アームロック」パッティングをおこなう選手で出てきました。左腕を振ることでパットをおこなうことができるため、手首の動きでおこなうパットより、ぶれが少なく精度があがるという考えです。現在この方式でパットをおこなっている選手は、ブライソン ディシャンブー、ウェブ シンプソン、そして先日の「マスターズ」で2位に入った新人のウィル ザラトリスなどの選手がいます。
しかし、この「アームロック」パッティングに対して、ブラッド ファクソン(59歳)が最近異議を唱えはじめました。ファクソンは米ツアーで8勝、シニアで2勝あげ、「全豪オープン」のタイトルも取っているベテラン選手で、最近はパターのコーチとしていろいろな選手を指導しています。
彼曰く、「アームロックは、誰がなんと言おうとゴルフで禁止されているアンカリングそのものである。ルールブックにあるように、パットのストロークというものは、どこかを支点としておこなうものではなく、自由な振りでなくてはならない。」
ディシャンブー、シンプソン、ザラトリスらの各選手が、今後どんどん活躍するようであれば、この問題がさらに大きくとりあげられる可能性があります。