全米プロの2日目を終わって、ベテラン勢が健闘しています。5アンダーで首位に立ったのは、フィル ミケルソンとルイ ウーストヘイゼン(38歳)の2人です。
ミケルソンは来月51歳になりますが、全米プロがマッチプレーからストロークプレーで競技されるようになった1958年以降、50歳以上の選手が36ホールを終わって首位に立ったのは、サムスニード以来の記録になります。スニードは1966年に54歳で首位に立ちました。ミケルソンの残り2日間のプレーが楽しみです。
ウーストヘイゼンは(38歳)は、2010年の「全英オープン」の優勝者で、その後欧州ツアーでは7勝していますが、米PGAツアーでの優勝がありません。先月の米ツアー「チューリッヒ クラシック」にカール シュワッツェルと組んで出場しましたが、惜しくもプレーオフで敗れ、優勝を逃してしまいました。メジャーチャンピオンのタイトルは持っていますが、欧州ツアーより実力が一段上とみなされている米PGAツアーでの1勝が待たれるところです。
松山英樹も上位に食い込んでいます。現在首位と2打差の4位タイの好位置につけています。メジャータイトルをとることは非常に難しいことで、それを連続優勝するとなるとさらにむずかしくなるので、松山が優勝する確率は非常に低いと思われますが、勝負事なのでゼロとは言い切れません。いままで、メジャー大会のたびに日本中から期待され、その重圧の中でずっとプレーしてきていましたが、マスターズを優勝したことでその重圧から解放されました。そしてマスターズを優勝したときの好調さがまだ続いているようです。
もし松山が優勝したときは、彼にひとつお願いがあります。それは、今度は初めてではないので、試合後の優勝セレモニー、スピーチで、メジャーチャンピオンとして振舞ってほしいということです。以下の動画は、マスターズを優勝したあとの優勝セレモニーの動画です。
https://twitter.com/i/broadcasts/1jMKgpEoXmgGL
オーガスナショナルのチェアマンであるフレッド リドレイが司会をしています。この大会を支えてくれたすべての関係者に感謝の意を表明したのち、ふたりのグリーンジャケットを身にまとったメンバーを2人紹介しています。
最初に紹介されたのが、オーガスタナショナルの前チェアマンで、2006年から11年間務めたビリー ペインです。彼の在任期間中の2009年にアジアパシフィックアマチュア選手権が創設され、その優勝者が翌年のマスターズに招待されるようになりました。司会者のリドレーは「その時ビリーはいつかこの大会の優勝者がマスターズを制することを願い続けて、今日彼の願いが現実のものとなった」とペインの功績と松山の関係について言及しました。松山はこの大会で2010年と2011年に連覇しています。
ここまで前振りをされたら、松山はスピーチの中で、オーガスタのメンバーと大会を支えてくれたスタッフへの感謝の言葉のあと、ビリー ペインへの感謝の言葉を述べるべきでした。「わたしがここで優勝できたのは、あなたがアジアのアマチュアがマスターズの舞台でプレーするチャンスを与えてくれたからだ。ありがとう。」と。専属の通訳がいるのだから、日本語で今感じていることをもっと表現すべきでした。
もう1点、松山は2014年に米PGAに参戦してすでに7年経過しています。7年もアメリカで生活しているのに、優勝セレモニーの中で英語を使ったのは、「サンキュー」2回だけです。平易な英語でいいから、自分の思うこと、感じたことを表現する練習をするべきです。
メジャータイトルをとることは、世界中のプロを目指すアマチュアとプロゴルファーの夢です。才能に恵まれ、厳しい練習に耐え、周囲の人に支えられて、幸運にもそのタイトルを手にすることができたときには、名誉と同時にそのタイトルに伴う大きな責任が生じます。コースの中だけでのプレーだけではなく、コース外の場においてもメジャーチャンピオンとしての発言、行動が求められます。米ツアーでプレーを続ける限り、間違いなく英語力はそのひとつになります。
松山選手、期待しています。