今季2戦めとなるメジャー大会「全米プロ選手権」は、フィル ミケルソンが、メジャー最年長優勝記録を塗り替えるという偉業で幕を閉じました。
優勝したフィル ミケルソンは、「全米プロ」が始まったとき、世界ランキングは115位でした。しかし、優勝して今週の世界ランキングは32位となり、またトップ50に返り咲きです。
世界ランキングシステムが1986年に導入されてから、世界ランキング下位の位置からメジャー優勝を果たした選手名とその時のランキング順位をみてみると以下のようになります。
ベン カーティス 396位、2003年 全英オープン
ショーン ミヘール 169位、2003年 全米プロ
ジョン デイリー 168位、1991年 全米プロ
ポール ローリー 159位、1999年 全英オープン
フィル ミケルソン 115位、2021年 全米プロ
いままでこのブログでは、男子のメジャー大会においては世界ランキング上位の選手しか優勝しえない。過去2年間について、選手の試合での実績を数値化して順位をつけている世界ランキングは決してうそをつかないと再三書いてきました。そうはいっても勝負事なので、大穴的な選手が優勝することもありうるとも書いてきました。
今回は、フィルミケルソンには大変失礼ですが、男子メジャー大会の歴史上5番目となるような大盤狂わせな大会であったと言えるでしょう。上記の選手のうち、ジョン デイリーはその後、全英オープンも優勝しましたが、その他の選手はその後メジャータイトルを手にしていません。
しかし、ミケルソンはこれまでに米ツアー通算45勝(歴代8位)をあげ、今回の優勝がメジャー通算6回めの優勝となるスーパースターです。しかし、2019年のHSBC選手権後に世界ランキング50位から陥落しました。この時まで1353週(26年間)連続して保っていた地位です。そして、今年3月の「ホンダクラシック」後にはとうとう100位からもはずれてしまいました。50歳を過ぎ、ひたひたと迫ってくる体力的な衰えが主な理由でした。
世界ランキング上位の選手しか男子メジャー大会に優勝することはできないという常識を、今回フィル ミケルソンが破ることができたのは、おそらく「全米アマ」のタイトルを学生時代にとることができた才能と、米ツアーで45勝もあげることができた高い技術と能力、そして50歳を過ぎてもなお、高みをめざしてたゆまぬ努力を続けてきたミケルソンに、勝利の女神が微笑んでくれたせいかもしれません。