昨日少し触れましたが、ブルックス ケプカとブライソン ディシャンブーの間にはかなり大きな確執があります。それはテレビの中継を見ていても音声で伝わってくるほどのものです。
ここ数年の間にいろいろなことが積み重なって、今のような状況になったのでしょうが、今までメディアで取り上げられてきたことを書いてみます。
まず、ブライソンがゴルフと向き合う姿勢がユニークすぎることが挙げられます。彼のアイアンのシャフトは全て同じ長さであり、ボールは全て重心がボールの中心にあることを水の中に入れ確認してから使用します。
パットもサイドサドルパッティングを試したのち、現在は、狂いが生じる原因となりやすい関節の曲がりを抑えるため、肘をまっすぐに伸ばしてパターのシャフトと一直線にしてパッティングをおこなっています。このようなことは、いままでのゴルフの常識を完全に打ち破っています。そのため、周囲より反感も大きく、「マッド サイエンティスト(狂った科学者)」とあだなされているほどです。しかし、その行動の裏付けとなるのは、サザンメソジスト大学で学んだ物理学の知識で、本人は理論的に正しいと判断した上でおこなっています。
また、彼のプレーが非常に遅いことも原因としてあげられるでしょう。一緒にラウンドした選手が口々に、もう一緒に回りたくない選手のひとりに名前を挙げます。しかし、米ツアーで優勝を重ね、昨年の「全米オープン」を制覇しメジャータイトルを獲ってからは、スロープレーを批判する声はなくなりました。
昨年の「WGCセントジュード招待」の試合中に、ディシャンブーはティーショットをラフに打ち込んでボールのところに行ってみると、大きな木の根が地面に浮き出ており、そこに止まったボールは、とてもまともに打てる状況ではありませんでした。そこで彼はルール協議員を呼んで、ボールに対してスタンスをとると足の位置にアリの巣があるので、救済を求めたいと主張しましたが、モグラではなくアリの巣からの救済は認められずにそのまま打って、結局そのホールをダブルボギーとしました。
その翌日、同じように木立の中に打ち込んだケプカは、「アリの巣があるんじゃない?」と軽い冗談を飛ばしたあと、そこからグリーンにのせて楽々パーオンであがっています。
また、先月の「全米プロ選手権」大会中、試合後のインタビューを受けていたケプカのすぐ後ろを、スタッフと話しながらディシャンブーが通りすぎると、ケプカはディシャンブーのことが気になって気になって、何を話していたのか頭から飛んでしまった映像がSNSで流れてしまいました。
「全米プロ」の2週間後の「メモリアルトーナメント」では、出場しているディシャンブーに対して一部のギャラリーから、出場していないケプカの名前が浴びせかけられ、しつこく繰り返した観客が警備員によって会場から退去させられる事件が起こりました。
それに対してケプカは、SNSで「わたしのファンの中に、会場でつらい思いをしたひとがいると聞いた。申し出てもらえば、ビールを無料で提供する。」と、ヤジを飛ばしたファンを擁護するコメントをしました。
このコメントについて、ディシャンブーは自分のマネジメント会社を通じて、米PGAに対処するように求めています。
ここまで、こじれている二人ですが、ディシャンブーはあすから始まる「全米オープン」の昨年のチャンピオンで、ケプカは2017、2018年の大会を連覇しています。ふたりとも決勝ラウンドに進めば、同じ組でプレーする可能性も当然出てきます。
優勝のゆくえとは別に、とても熱い話題です。