先週の「全米オープン」では、ブライソン ディシャンブーのプレーに注目が集まりました。大会連覇の偉業がかかっていましたし、大会前からブルックス ケプカとの確執が取りざたされ、4日間のうちにふたりが一緒にラウンドする日があるのか、最終的にどちらが勝つのか(上位の成績をおさめるのか)、大きな話題となっていました。
ブライソンは3日目を終了した時点で首位に2打差の4位タイと、十分に連覇を達成できる位置から、最終日スタートしました。前半は2アンダーと好調で一時はトップに立ちましたが、後半8オーバーと大崩れしてしまい、結局26位タイの成績に終わりました。
実は、ブライソンは3日目のプレーが終わったあと、SNS上でするどく非難されて最終日を迎えています。それが最終日の不調につながったかどうかわかりませんが、その場面が以下の動画になります。
4番ホール(パー4,486ヤード)のティーショットで、ブライソンの打ったボールはフェアウェーを大きく右にはずれましたが、打ったあとのブライソンの態度からは、「プッシュした。しまった!」という表情はまったく感じられず、思ったとおりのところに打てたというしぐさです。
コースは左にドッグレッグしていて、グリーン左手前にはバンカーがあります。このバンカーをプレーするラインからはずして2打目が打てるように、コース右側に大きくひらけているスペースに意図的に打ち込んだのです。
ティーショットをフェアウェーに打つことは基本中の基本で、もし誤って大きく右や左に外した場合は、前方のギャラリーに知らせるため「フォア!」と叫んで、左右どちらに外れたか示すことが選手にとって大切なマナーとされています。
それはもちろん、前方で観戦しているギャラリーの安全を守るためで、「フォア!」の声を聞けば、ギャラリーは身構えることができ、両手で頭をカバーすることもできます。硬いボールなので、頭に当たればとても危険で、直接目に当たれば失明のおそれさえあります。
現在米PGAツアーでドライバーの飛距離がNO1のディシャンプー。飛距離という最大の武器を使って、今まで誰も考えたことがない攻め方でコースをプレーします。今まで誰も攻めたことがないルートで、コースを攻略すること自体は何も問題ありませんが、それによってギャラリーの安全が脅かされるようであれば、大きな問題です。
通常はあり得ない話ですが、ティーショットを打つときに意図してフェアウェーをはずす場合も、当然「フォア!」と叫んで、前方のギャラリーに危険を知らせる義務が生じてきます。
ディシャンプーの出現で、いままで誰も思ってもみなかったことがいろいろと出てきます。