世界のゴルフを主管するR&AとUSGAは先日、「来年(2022年)の1月1日より現状48インチの長さまで許されていたドライバーの最大の長さを46インチにする」と発表しました。
しかし、この変更はローカルルールとして適用され、プロゴルファーやプロに準ずる選手が出場する大会を開催するゴルフ場にその運用が任されます。なので、週末ゴルファーや趣味でゴルフを楽しむ人たちにはまったく影響を与えるものではありません。
ドライバーやゴルフボールの技術発達で、近年ドライバーの飛距離はだんだん伸びてきました。とくに最近はブライソンディシャンブーのように器具の進歩だけではなく、肉体を強化することによって、ドライバーの飛距離は格段に伸ばした選手もあらわれてきました。
飛距離が伸びたことで、いままでティーショットを打つときに選手にプレッシャーを与えていたバンカーや池が効果を発揮せず、軽々とオーバードライブしていく選手が多くなってきました。また、ホールによっては大きな飛距離を利用して、いままで考えられなかったような攻め方をすることができるようになりました。
ドライバーの飛距離アップに対応するため、ティーグランドを後ろに下げる改修工事が可能なコースはいいですが、それでも多額の費用がかかります。コースレイアウト的にそういった改修ができないコースは、ツアーのスタンダードを満たさないという理由で、大会の開催が見送られることになります。そうすると、「なんだ、距離のない古いコースじゃないか。」という評価につながり、ゴルフ場の価値も下がっていきます。
ツアーのスタンダードに見合うコースを新たに新設しようとすると、より大きな土地が必要となり、造成費用もかさみます。面積が広くなるのでオープンしてから芝などのメンテ費用が増大していきます。こうやって多額の費用をかけて新しいコースをつくったとしても、今のようにドライバーの飛距離が伸び続ければ、いずれツアーの標準をみたさなくなる時代がくるかもしれないという不安がつきまといます。
こういった言わば「いたちごっこ」のような現状を改めるため、今回の措置が取られました。ゴルフという競技が、今後も持続可能なスポーツとして成長していくために、更なる規制が加わっていくことが予想されています。