昨日、チャンピオンズディナーに松山英樹が選択し、用意したメニューがあまりに日本的すぎると書くと、タイガーウッズが1997年に初優勝したとき、翌年のディナーでチーズバーガーやミルクシェーキなどを振舞っている。松山のメニュー選択にそこまで言う必要はないとお叱りの言葉をいただきましたが、とんでもない話です。
当時、つまり1997年の「マスターズ」に21歳で出場したタイガーは、初日こそ2アンダーの70でしたが、2日目6アンダー、3日目7アンダーとスコアを大きく伸ばし、2位に9打差をつけて最終日を迎えました。そして、最終日は3アンダーのスコアでホールアウトし、2位の選手に12打差をつけ記録的優勝を飾りました。この優勝は、同時にマスターズ最年少優勝記録となり、白人以外の選手による初めての優勝となりました。
この試合には45歳になったファジー ゼラーも出場していました。彼は1979年の「マスターズ」に優勝しており、「チャンピオンズディナー」に出席する資格ももっている選手です。試合後にインタビュールームで、タイガーの活躍について質問されました。すると、
「彼は絶好調だ。すごい。ドライバーも飛ぶし、パットも上手だ。ここで優勝するために必要なすべてのことを実践している。(優勝して)彼がこの部屋に入ってきたら、君たち記者は何を言わなくちゃならないか、わかっているよな。 彼の背中に手を置いてお祝いの言葉を述べるんだ。そして、来年の「チャンピオンズディナー」で、鳥のから揚げを出すなよと彼に言ってくれ。わかるだろ。コラードグリーンや彼ら(黒人)が好んで食べるものを出すなって!」
この差別的発言は大きく取り上げられ、ゼラーは即座に謝罪に追い込まれました。なので、翌年の「チャンピオンズディナーズ」で、タイガーはこのようなつらい経験をしたのちに、ホストをつとめメニューを選択しています。何も考えず勝手に自分の好きな料理を選んで出したわけではないのです。
今回の大会に、怪我で1年あまり戦列を離れていたタイガーが出場の意志を示しています。テレビの画面越しですが、あらためてタイガーの偉大さに接したいと思っています。