米PGAツアーでプレーする選手の一部が、2024年新たに創設される予定のスーパーゴルフリーグ側によって、来月イギリス ロンドンで開催される大会へ出場を希望し、米PGAに対して出場許可申請を提出していました。しかし、米PGAはこの申請を認めない決定を下しました。
米PGAツアーでプレーする選手はツアーメンバーとして、米PGAツアーが開催する試合と日程が重なる他の試合に出場しようとするときは、米PGAツアーに対して許可申請をおこなわなければならず、申請が認められた場合のみ出場することができます。
今年2月に中東で開催された「サウジ インターナショナル」のときは、米ツアーの「ペブルビーチ プロアマ」と日程と重なりましたが、一定の条件つきで出場が認められ、ダスティン ジョンソン、フィル ミケルソン、エグザンダー シャフレ、ブライソン ディシャンブー、パトリック リードらの選手が出場しました。
しかし、今回米PGAツアーは出場を認めませんでした。理由は「サウジインターナショナル」は年1回の大会であるのに対して、6月にロンドンで開催される大会は、スーパーゴルフリーグが準備段階として今年世界中で8試合予定しているその初戦になるため、今回認めてしまうと残りの試合もすべて認めざるを得なくなってしまい、ひいてはスーパーゴルフリーグへの選手の流出につながる可能性が出てきます。
申請をおこなった選手は、いままで自分で公表しているフィル ミケルソン、セルジオ ガルシア、ルイ ウーストヘイゼン、マーティン カイマーを含め、世界ランキング100位以内の選手が19名、50位内の選手が6名とスーパーゴルフリーグ側は発表しています。
ロンドンで開催される大会は、3日間大会で出場者は48名に限定され、試合は18ホールすべてから各グループがスタートするショットガン形式が採用されます。優勝者への賞金は400万ドルとゴルフの大会の賞金としては史上最高金額となり、予選カットがないため最下位の選手にも12万ドルが支払われます。
高額の移籍金・賞金で選手を獲得し、なんとか「スーパーゴルフリーグ」を創設したいグループと、選手をとられまいとする米PGAツアーの戦いは今後も続きますが、両方に弱点があります。
米PGAツアーサイドの弱みは、ツアーに所属していない独立した選手を不当に拘束し、彼らの収入の道を奪っているという独占禁止法に違反する点。スーパーゴルフリーグ側は、その資金源がサウジアラビアの公的ファンドであるという点で、サウジアラビアという国は今でも一夫多妻制が認められ、同性愛者は死刑になるなど基本的人権が保障されていません。また皇太子が反体制派のジャーナリスト暗殺に関与したとして国際的に非難を受けています。
今後法廷での争いに発展する可能性がある米PGAツアーとスーパーゴルフリーグのバトルから、しばらく目が離せません。