サウジアラビアの国営ファンドがバックアップしている「LIVゴルフ招待シリーズ」の大会に出場したとして、DPワールドツアー(旧欧州ツアー)から出場停止処分をうけた選手のうち、処分は不当としてイギリスの裁判所に処分の無効を訴えていたイワン ポールターら3名に対して、裁判所は処分仮差し止めの決定を下しました。
この仮決定をうけ、イワン ポールターら3名は今週開催されるDPワールドツアーの大会「スコットランド オープン(Scottish Open)」に急遽出場できることになりました。
「スコットランドオープン」は、今季最後のメジャー大会「全英オープン」の前週におこなわれるので、前哨戦として多くのトッププロが出場します。出場者はすでに確定していましたが、新たに3人が追加されることになりました。
今回は裁判所による仮決定ですが、今後DPワールドツアーが、LIVゴルフ招待シリーズに出場した選手に対して無期限の出場停止処分をおこなったことが、ツアーメンバーの選択の自由を奪っているかどうかが争われることになります。
ツアーメンバーであることは、試合に出場する資格が保障されるだけで、経済的にはなんら恩恵をうけることはありません。試合に出場し予選を通過してはじめて、賞金を受け取ることができます。しかし、試合会場までの移動費、滞在費、コーチやキャディーを雇う費用など多くの経費がかかるので、それらを獲得賞金だけで賄えるのは一握りのトッププロに限られ、それ以外の選手はスポンサー企業に頼らざるを得ません。
そのような厳しい状況のなかで、予選カットがなく最低順位の48位に終わっても、12万ドル(約1600万円)が支払われるLIVゴルフ招待シリーズに選手が流れるのは、無理のないことかもしれません。
LIVゴルフ招待シリーズが開催されるコースでは、指定されたホテルに選手だけではなくキャディーやコーチなどの関係者に対しても立派な部屋が割り当てられています。選手以上に厳しい環境に置かれているキャディーは、通常経費を抑えるため3,4人で相部屋するのが当たり前なので、まるで天国のような大会です。
LIVゴルフと米PGAツアーによる選手争奪戦が今後どうなっていくのか。選手の待遇だけに関心が集まりがちですが、選手を支えるキャディーやスタッフの働きやすさなどにも、今後目が向けられていくかもしれません。