LIVゴルフは自分たちの大会の結果に対して、世界ランキング算出のもとになるポイントを付与してもらうために、とんでもない奇策に打ってでました。
世界ランキング対象となっているMENA(Middle East and North Africa, 中東と北アフリカをエリアとする)サーキットと戦略的同盟を結び、このサーキットのなかに自分たちの試合と入れ込むと発表しました。
MENAサーキットは、DPワールツアー(旧欧州ツアー)や南アフリカのツアーに選手を送り込むとても小さいツアーで、2016年に世界ランキング対象になりました。しかし、コロナがまん延した後は1試合しか開催しておらず、休眠状態といっていいツアーです。
LIVゴルフ側は、自分たちの試合は世界ランキングのポイントが与えられるツアーの一部になったのだから、ポイントが与えられるのは当然だと主張しています。今週タイのバンコクで開催される試合と来週サウジアラビアで開催される試合についても、ポイントが付与されるべきだとしています。
これに対しては、即座に世界ランキングを統括する組織OWGR(Official World Golf Ranking)は声明を発表しました。「LIVゴルフ側の今回の動きはバンコク大会の直前の発表であり、ランキング対象とするための審査が間に合わない。バンコク大会とサウジアラビアでの大会にはポイントを与えることができない。」
LIVゴルフ側は、ことしの7月の時点で自分たちの大会に世界ランキングポイントを付与してもらうように書類申請をおこないました。さらに先月早く認めてもらうため、LIVゴルフに加わっている選手が連名で嘆願書を提出しました。
しかし、通常の審査でも認定には1年くらいかかると言われていることと、LIVゴルフの試合が世界ランキングの対象と認めてもらうには、基本的条件をクリアできていない部分が数か所あります。
1年も待っていると、LIVゴルフの選手の世界ランキングはどんどん下降していくばかりで、歴代チャンピオンを除いて4大メジャーへの出場資格が失われていきます。その焦りから、周囲があっと驚くような今回の策を繰り出したようです。
しかし、今回の戦術はちょっと姑息に見え、OWGRの態度をかえって硬化させてしまうように思われます。正攻法としてベストの方法は、LIVゴルフ側の選手が来年以降の4大メジャー大会で優勝してみせることです。
そうなれば、メジャー大会で優勝した選手を除外したまま作成された世界ランキングというものは、果たして正しくすべての選手の実力を反映したものなのかという批判が起こってきます。そこしか、LIVゴルフ側には攻め込むところはないように思います。
今後もLIVゴルフと米PGAのバトル、見守っていきましょう。