これまでLIVゴルフ側は、LIVゴルフに移籍した選手たちが世界ランキング算出のためのポイントを獲得して、世界ランキング50位以内の位置をキープして4大メジャー大会へ出場可能となるように、さまざまな対策を講じてきました。
一番最近の動きは、休眠状態にあったMENAツアーとLIVゴルフを統合し、MENAツアーが世界ランキング対象のツアーだったので、それと一体になったLIVゴルフの試合にもポイントが付与されるべきだと主張しました。このことについては10月7日のブログで詳しく書いていますのでご一読ください。
今度は「サウジ ゴルフ」というLIVゴルフの上部組織の役員が、アメリカの雑誌「ザ ニューヨーカー」のインタビューに答えて、とんでもない驚愕の発言をしています。
「現在のように、4大メジャー大会の主催者がLIVゴルフ所属の選手を出場させない状況が続くのであれば、それで結構。われわれはLIVゴルフの選手のために独自のメジャー大会を創る。」と
世界ゴルフランキングを統括している団体OWGRは、別にLIVゴルフの選手を出場させないと言っているのではなく、書類審査に時間がかかると言っているだけで、通常は申請から1年程度かかるとガイドラインにも記されています。
しかし、1年も待っていたら現在世界ランキング50位以内にいて、4大メジャーへの出場資格をもっている選手も順位を落として出場できなくなり、最後にはメジャー大会の歴代チャンピオンの選手だけが、メジャー大会に出場できるという事態になってしまいます。
だからと言って、自分たちでメジャー大会を創るというわけですが、その発想は驚きを通り越して、こっけいささえ感じてしまいます。
マスターズは今年の大会が85回目の大会でした。全米プロ選手権は104回め、全米オープンは122回目、全英オープンは150回めの大会がこの夏に開催されました。
全英オープンには1世紀半の歴史があります。その長い歴史のなかで、数知れないドラマが繰り広げられ、優勝に届かなかった多くの選手が涙を流し、最後まで首位を守りきった選手は喜びを体中で表現してきました。
歴史と伝統がある大会だからこそ、すべてのプロゴルファーが優勝を夢見て、日々激しい練習に耐え、努力を積み重ねるのです。
メジャー大会は創るものではなく、長い年月と多くのゴルファーによってつくられるものです。新しく大会を創って、「この大会はメジャー大会だ。みんながんばれ!」といったところで誰も見向きはしません。
今回ばかりはLIVゴルフがとうとう馬脚をあらわしたというか、サウジアラビアという国が潤沢なオイルマネーを運用して利益をあげることしか考えていない本心が見えたようで、非常に残念です。LIVゴルフの将来に暗雲がたちこめ始めました。