オーストラリアのブリスベインで開催されていた「全豪プロ選手権」は、世界ランキング第3位のキャメロン スミスが大方の予想通り、2位に3打差をつけ優勝を果した。
コロナ禍による移動制限のため、約3年ぶりに母国に帰国して第1戦目での勝利であり、全英オープンチャンピオンとして凱旋帰国してのはなばなしい優勝である。
スミスは今年米PGAツアーで、1月に「セントリー トーナメント」、3月に「プレヤーズ選手権」、7月に「全英オープン」と3勝をあげ、世界ランキングを2位まであげた。LIVゴルフに移籍したあともシカゴ大会で優勝しており、この大会が今年5勝目となる。この優勝によるスミスの世界ランキングの変動はなく、3位のまま。
最終日は雷雨に見舞われてプレーが2度も中断し、集中力を切らさずに維持することが難しい展開で、スミスは2度目のプレー再開後の11番ホールではボギーを叩き、2位の選手に並ばれてしまった。しかし次の12番でバーディーを奪って首位をとりもどし、13、16番でもバーディーを決め、2位以下の選手を振り切った。
優勝後のインタビューで、「優勝できるかどうか試合の途中で不安が脳裏をかすめた。しかし、そのときに心の支えとなったのは、祖母の存在だった。彼女は今がんを患っていて、化学療法の第2ステージをおえたばかりだった。体がつらいにもかかわらず、4日間72ホール、自分の組についてずっと回ってくれた。応援してくれている彼女のためにもぜひ優勝しなければという気持ちになった。また、今日は父の誕生日だったので、父にもぜひ優勝をプレゼントしたいと思った。」
今年5勝をあげ、世界ランキング3位の能力を備えるスミス。しかし、試合中に「勝ちたい」と思い続ける精神力は、祖母のために、父のためにという思いから生まれていたようである。
PGAオーストラリアツアーは、翌週12月1日からナショナルオープンである「オーストラリアオープン」が開催され、2週連続のメジャー大会となる。スミスは「全豪プロ選手権」で3回目の優勝を果したが、「オーストラリアオープン」ではまだ勝っていない。今週の彼のプレーに注目だ。