本日の日本経済新聞朝刊には、高級腕時計メーカー リシャールミルによる8面を使った広告特集版が入った。(写真の状態があまりよくないことはご容赦を)
このメーカーの時計を、ゴルフ界ではメジャー大会「マスターズ」で2勝し、昨年LIVゴルフに移ったババ ワトソンが身につけていたことはよく知られていたが、日本では宮里優作や青木瀬令奈がアンバサダーを務めている。
今年の日本女子ゴルフの年間スケジュールをみると、6月2日から「リシャールミル ヨネックスレディース」という新しい大会名のトーナメントが予定されている。これまで「ヨネックスレディース」という大会名で、スポーツ用具メーカーのヨネックスが、創業地である新潟県長岡市で開催してきたが、ことしから2社がタイトルスポンサーとなって、会場を静岡県に移しておこなわれる。
リシャールミルという時計メーカーは、新興企業ながら革新的なデザインと技術で高く評価されているが、日本で販売を担当するリシャールミル ジャパンの営業戦略はこれまで迷走してきた。
リシャールミル ジャパンは、日本男子プロの選手会が主体になってあらたな大会「日本プレーヤーズ選手権」をつくろうとしたとき、メインスポンサーに名乗りをあげたが、初回(2021年)の大会がおこなわれる前に、ドタキャンし撤退を表明した。窮地におちいった選手会は、これまでトーナメントを開催した実績のあるサトウ食品に、泣きついて何とか初回大会の開催にこぎつけたという経緯がある。
日本男子ツアーを簡単に見限っておいて、間をあけずに今度は日本女子ツアーの大会を開催する。この変わり身の早さは、日本でのリシャールミルという時計のイメージを大きく損なうもので、非常に残念である。
ロレックス、パテック フィリップなど高級腕時計はいま世界的に人気で、高額のアイテムが日本でも飛ぶように売れているらしい。そうは言うものの、ざっくり言って販売されて時計の9割は男性もので、男性が主たる購入者だろう。
リシャールミルジャパンが、販売促進のために女子ゴルフのトーナメントを開催する意味はどこにあるのだろうか?その目的はもちろん日本での知名度をあげて販売アップにつなげるためだろう。でも、男子プロの大会よりも女子プロの大会のほうが入場者数が多いし、テレビ中継も期待でき、話題提供が可能となるという総合的な判断なのだろうか?
いずれにせよ、長期的な視点で日本女子ツアーを育てていこう、その成長をわれわれの会社も共有していけたらいいという姿勢ではないようなので、数年後に契約を更新するときには撤退し、また新たなスポーツの分野に移っていくのかもしれない。