ラウムの職業倫理感

米PGAツアー「RBCヘリテージ」は予選ラウンド2日間のプレーが終了した。先週の「マスターズ」を優勝したスペインのジョン ラウム(28歳)はこの大会に出場し、首位と6打差の18位タイの位置にいる。

「RBCヘリテージ」は、米PGAツアーが今年から導入した13試合ある「格上げ」大会のひとつとなっており、ラウムらトップ選手には出場することが求められている。

ラウムはマスターズで優勝し、その後多くの行事や取材などで疲労がたまっていたのか、初日のラウンドを1オーバーパーとして94位と大きく出遅れた。予選通過が危ぶまれるスタートだったが、第2ラウンドは7バーディー、ノーボギーのスコアでもりかえし、18位タイまで順位をあげた。

2日目のラウンド後の記者会見で、記者より「あなたは昨日調子がよくなかった。今日も会場にやってきて、まだ(先週からの)疲れが残っている。(予選落ちして)週末ゆっくり休養に充てることもできたのではないか?」

これに対して、ラウムの回答は以下のものだった。

「ゴルフってわたしの仕事なんだ。お客さんは大切なお金を払って、わたしのプレーを見にきてくれている。彼らにとっては、わたしの睡眠が十分とれていようがいまいが関係ない。わたしの気分がすぐれていようがいまいが関係ないことだ。わたしは、競技者として途中で試合を投げ出したりしない。常にいいスコアであがることめざしている。」

質問をした記者がはずかしくなるくらいの、すばらしい職業倫理感である。「RBCヘリテージ」の会場にわざわざ足を運んだ多くのギャラリーの一番の目的は、マスターズチャンピオンとなったジョン ラウムがプレーしているところを、直接自分の目で見てみたいというものであろう。その自分が疲れているからといって、予選落ちをしたり途中で棄権したりすることは、お客様に申し訳がたたない。

今年すでに4勝をあげ、このような考えかたをするジョン ラウムには、もっとメジャータイトルを期待できそうである。5月に「全米プロ選手権」、6月に「全米オープン」、そして7月の「全英オープン」と、これからメジャー大会が予定されている。あとひとつタイトルをとってくれることを願いたい。