米PGAツアーとLIVゴルフ一緒になる理由

米PGAツアーとDPワールドツアー(旧欧州ツアー)が、LIVゴルフを金銭的にバックアップしているサウジアラビアの国営ファンドと組んで、ツアー競技を統一するというニュースは、ゴルフ界に大きな衝撃を与えた。

米PGAツアーは、昨年新たにスタートしたLIVゴルフを脅威に感じて敵視し、LIVゴルフの高額賞金に対抗するため、特定の大会の賞金総額を大幅にアップさせ、選手がLIVゴルフに流れるのを防ぐ手立てを講じてきた。そんななかでまさに青天のへきれきのようなニュースだった。

しかし、この発表からしばらくたって徐々に真相が明らかになってきた。ひとことで言えば、”If you can’t beat ‘em, join ‘em.” ということらしい。西側社会でよく口にされる「勝てない相手とはけんかをしないで仲間になれ。」である。

オイルマネーで潤沢なサウジアラビアの国営ファンドが相手では、喧嘩をしてもとても勝ち目はない。国営ファンドが所有している資産は6060億ドルで、現金は450億ドルあるという。

米PGAツアーはこれまでにLIVゴルフに対抗するために多くのお金を使い、LIVゴルフとは互いに訴訟をおこしているので、今後も多額の訴訟費用がかかる見込みである。

米PGAツアーは今後もこれだけの費用を払いながら、プロゴルフを成長、発展させるための投資を続けていくことは困難であると判断し、資金力のあるサウジの国営ファンドと組むことにしたのである。

今後はLIVゴルフに移籍した選手たちが、どういうかたちで米PGAツアーの選手と合流し、一緒にプレーしていくようになるのか注視していきたい。