世界のゴルフ界にメガトン級の衝撃が走った。米PGAツアーのコミッショナーのジェイ モナハンは、現地時間の6日「米PGAツアーとDPワールドツアー(旧欧州ツアー)は、敵対してきたLIVゴルフを運営するサウジアラビアの国営ファンドと一緒に新たな組織をつくり、これまで別々に運営してきたゴルフを統一することで大筋合意した。」と発表した。
米PGAツアーとDPワールドツアーから有力な選手を多額の契約金を積んで引き抜いたLIVゴルフは、昨年6月ロンドンでの試合を皮切りに、2022年中に8試合をおこなった。今年もすでに7試合消化し、あと7試合が予定されているが予定どおりおこなわれる見込みだ。
米PGAツアーとDPワールドツアーは、LIVゴルフが主催する試合に出場したツアーメンバーの選手に対しては、無期限の出場停止という非常に重い処分を下し、LIVゴルフとの対決姿勢をとことん貫く態度をみせていたので、今回の発表の衝撃は大きい。
まだ名前も決まっていない新しい組織のCEOにはジェイ モナハンがなり、会長はサウジアラビア国営ファンド側から人選される。ゴルフトーナメントの運営はこれまで通り、米PGAツアーとDPワールドツアーがおこない、資金面でサウジ国営ファンドが強力にバックアップする体制のようだ。
LIVゴルフはチーム制を導入した。チームキャプテンのもと3人の選手が個人戦とともに団体戦を戦う。その一方では米PGAツアーが個人戦でおこなわれ、これまでもゴルフはほとんどの大会が個人で競われてきたので、LIVゴルフのチーム制についての評価はけっして高いものではなかった。
プロゴルフ選手は、どこかのチームと契約を結び、チームに所属して年俸が保証されているわけではない。個人事業主として試合に出場し、賞金を稼いで生計を立てている。予選を通過しなければ1銭のお金を得ることができない。実力さえあればどんどん賞金をかせぐことができるが、身分はきわめて不安定である。
欧州を中心に活躍するプロサッカー選手、アメリカのMLB、NFL、NBAの選手はチームに所属して、チームとして戦い、その貢献度によって報酬をうける。また、フランチャイズ都市を持って、そこの市民から熱狂的な声援をうける。
新たにつくられる組織がどんな方向を目指すのか、現時点では何も明らかにされていないが、チーム制がどう扱われるのかという問題は間違いなく焦点のひとつになるはずである。