今年3月、全世界のゴルフルールを主管するUSGAとR&Aは、飛びすぎるボール問題に対応するため、2026年1月より自らが主催する試合とトップレベルのアマチュアの大会では、飛距離をおさえたボールの使用を義務づけると発表していた。
https://worldgolfinformation.com/2023/03/15/
具体的には、「全米オープン」「全米アマ」「全英オープン」「全英アマ」などの大会が対象となり、米PGAツアーやDPワールドツアー(旧欧州ツアー)が主催する試合や「マスターズ」については、主催者の判断に委ねられることになっていた。
米PGAツアーはこのほどツアーメンバーの選手に対してメールを送り、この飛ばないボールを米PGAツアーでは採用しないことを伝えた。
米PGAツアーは、これまで4年に1度USGAとR&Aがルールの変更をおこなったときには、異論を唱えることなくトーナメントで採用してきたので、今回の不採用表明はやや驚きをもって受け止められている。
ゴルフにおいてドライバーの飛距離は大きな武器であり、ファンへのアピールも絶大なので、一部の選手の中には飛距離を抑えたボールの導入に反対する意見があった。
米PGAツアーとDPワールドツアーは、これまで敵対してきたLIVゴルフを財政的にバックアップしてきたサウジの国営ファンドと一緒になって新しいツアーを創ることを決め、現在どんな形にするのか検討されている。
選手にとっては、自分たちがプレーする場所がどんなふうになるのかはっきりしない中で、飛ばないボールは受け入れないことにするとか言われても、もっと先に決めることがあるでしょ!と言いたくなる思いだろう。
選手をおきざりにして、突然LIVゴルフ側と手を組んだ米PGAツアーに対しては、多くのトップ選手から不信の声が聞かれた。今回の飛ぶボール不採用の決定は選手たちの不信を少しでも和らげようとする懐柔策だと批判する選手たちもいる。
1番大きな問題は、このままでは新しいツアーに組み込まれる通常の試合と、「全米オープン」「全英オープン」で使用が許されるボールが異なってしまうということである。同じ力で打ったボールの飛距離が、ツアー競技と2つのメジャー大会では違ってしまうので、選手にとってその調整は大変難しくなってしまう。
飛ばないボールがどのように使われていくのか?今後の動きに注目である。