第124回「全米オープン」は、アメリカのブライソン ディシャンブー(30歳)が優勝し、2020年の大会に続き、ナショナルオープン2度めのタイトルを手にした。
ひとつ前の組でまわるローリー マキロイと最終72ホールまで優勝争いを演じ、ファンとしては手に汗を握る展開となった。マキロイが16番と18番で、信じられないような短いパットを2つもはずし、追うディシャンブーに勝機が訪れた。
しかしながら、ディシャンブーはパーで上がれば優勝をきめることができる最終18番で、ティーショットを左に大きく曲げ、ウエストランドに打ち込んでしまう。ライが悪い上にクラブを振ると後ろの木にかかってしまう状況だ。
ひきつったようなスイングから打ち出されたボールは低い弾道で、ピンから55ヤードも距離が残るバンカーの中に入ってしまった。パーで上がれば優勝、ボギーとすればマキロイとのプレーオフとなる第3打。そこからスーパーショットが生まれる。ディシャンブーはバンカーショットを4フィートの位置にぴたりとつけたのだ。
ディシャンブーはこのパットを確実にきめて、メジャータイトルを手にした。
2014年の「全米プロ選手権」以来10年間もメジャータイトルを手にしていないマキロイだが、今回もまたあと一歩のところで手が届かなかった。
敗因はバックナインの後半で3つもボギーを叩いてしまったことにあるが、その裏には自分がLIVゴルフに移籍したブライソン ディシャンブーに負けるわけはないというという慢心があったのではないか。自分はこれまで米PGAツアーの顔として、にわかに生まれたLIVゴルフのことを非難し、米ツアーを強く支持してきた。ゴルフの正統性はこちらにあるという意識が判断力の甘さにつながったのでないか。
さらに、アメリカのナショナルオープンということで会場では北アイルランド人のマキロイよりもディシャンブーを応援する声のほうが大きかった。マキロイとしてはあまりアウェーの状況でメジャー大会を戦った経験がなかったことも、災いしたのかもしれない。
早いもので、残るメジャー大会は7月18日から始まる「全英オープン」のみとなった。