米PGAツアーでプレーするベテラン選手マット クーチャー(46歳)がひんしゅくを買っている。オリンピックの女子ゴルフが開催される週と重なった米ツアーの「ウィンダム選手権」が、彼ひとりのためにトーナメントが完了せず、マンデー フィニッシュとなったためである。
(Golf Monthlyより)
「ウィンダム選手権」は悪天候に見舞われて日程が大幅に乱れた。すべての選手が予選ラウンド36ホールを完了したのが日曜日の午前中で、ほとんどの選手が最終日に36ホール以上まわらなければならない強行スケジュールとなった。
時間がないため、予選ラウンド終了後はもう組み合わせの変更はおこなわれず、第3第4ラウンドがスタートすることになった。マット クーチャーは予選ラウンドが終わった段階で首位だったため、最終組でプレーした。
最後のほうの組でラウンドする選手は疲労とともに日没とのたたかいとなり、第4ラウンドの18番ホールに最終組のマット クーチャーらが来た時は、もうかなり暗くなっていた。クーチャーはスコアを伸ばすことができずその時点で優勝の望みはまったくなくなっていたが、ホールアウトを急いて打ったティーショットが左に大きく曲がってしまった。
木立の間からグリーンをねらわなければならない難しいショットとなってしまい、簡単にさっと打てるショットではなく、クーチャーは時間をかけて状況を把握する必要に迫られた。
競技員が最終組のところにやってきて、クーチャーと同伴競技者に「暗くなってきたため、ここで試合を中断し、翌日戻ってきて試合を再開することを選択できますよ。」と告げた。
同伴競技者は、暗いけど障害がない場所からのショットとなるので、試合を続行することを望みホールアウトした。しかしクーチャーだけはそこで試合を中断し、月曜日にもどってくる選択をした。
クーチャーはこのホールのスコアに優勝がかかっているというわけではなく、ただひとつでもいい順位であがりたいため、つまりお金のためだけにひとりだけ月曜日に戻ってくることを選択したので非難が殺到した。
月曜日に試合がおこなわれるため、大会関係者、記者たちは月曜日に会場に来なくてはならない。また、大会が完了していないので、この大会の順位が確定しない。この大会の順位をふまえて次週からのフェデックスカッププレーオフに進出できる選手が決まることになっているので、それも確定しない。クーチャーひとりの判断で、多くの関係者に迷惑をかけてしまうことになった。
翌日戻ってきたクーチャーは、2打目をグリーンエッジあたりまでもってくることに成功した。第3打はピンに当たり、カップから数センチの場所に止まり、パーでホールアウト。これで順位は12位タイが確定し、賞金は14万5千ドル。もし、最終ホールをボギーにしていたら7万7千ドルだった。
確かにクーチャーにとっては無視できない賞金の差であるが、米PGAツアーが1日余計にトーナメントを開催するために支払う費用はそれの数倍、いや数十倍かかるだろう。
クーチャーはホールアウト後に謝罪の言葉を口にした。