LIVゴルフを財政的にバックアップするサウジアラビアのPIF(バブリック インベストメント ファンド)と米PGAツアーが、共同でツアーを運営していくことを発表したのは去年の6月のことだった。
それまで米PGAツアーはLIVゴルフを敵視し、LIVゴルフの試合に出場した選手には自らが主催する試合への出場を一切認めず、米PGAツアーと歩調をともにするDPワールドツアー(旧欧州ツアー)は、LIVの試合に出場した選手に規約違反として高額な罰金を科した。
そんな中での突然の米PGAツアーとLIV側の合併合意は、ゴルフ界に大きな衝撃をもたらし、選手たちにも動揺がひろがった。
2023年末までには、共同で運営するツアーの概要が発表される予定であったが、いまだ正式な発表はない。しかし、両者による話し合いは継続的におこなわれており、先週もニューヨークで開催された。
その会合についてメディアの発表によると、ツアーの詳細については徐々に詰められているようだが、大きな問題が残っていてなかなか解決の糸口が見えないようだ。
LIVゴルフに移籍した選手と移籍せず米ツアーに残った選手が、また同じフィールドでプレーすることになる。多額の移籍金を目の前に積まれながらも、米ツアーへの忠誠心からLIVへの移籍をことわった選手にとっては、移籍金をもらった選手とまた今までのように同じ土俵でプレーするのはどうしても納得がいかない。契約金のもらい得ではないかと。
そこで、米PGAツアーに残った選手は、LIVから戻ってくる選手に契約金を返還するよう要求しているようだ。もし返還しないのであれば、今後の試合で優勝した場合でも賞金をチャリティー基金に寄付するか、受け取りを辞退するように求めている。
1億ドルの契約金を受け取って移籍したジョンラウムをはじめとして、LIVに移籍した選手は現在契約金の返還を拒否しているという。本人たちとしては、別に悪いことをしたわけではない。競合するツアーとして新たに創設されるLIVゴルフが、今後どうなるかまったくわからない。ファンの人気を得ることができずにつぶれるかもしれない。そのリスクと引き換えに契約金を受け取ったのだと言われれば説得力はある。
この問題がどう解決されていくのか、今後の話し合いを見守りたい。