來シーズンの米LPGAツアーの出場権をかけて、米LPGAの下部リーグ「エプソンツアー」のシリーズ最終戦に出場していた馬場咲希選手(19歳)については、このブログでレポートしてきた。
最終戦の4日間のプレーが終了し、最終日を2位タイからスタートした馬場は1アンダーの70のスコアで、8位タイの順位にとどまった。残念ながらこの順位では年間を通して争うポイントランキングの順位は18位のままで変わらず、上位15位までの選手に与えられる来季のLPGAツアーカードを逃してしまった。
このブログでは、最終戦に出場した全選手の獲得ポイント数、この大会の各順位に割り振られるポイントなどを把握することができないので、馬場が上位に入ればツアーカード獲得のチャンスがあるという書き方をしていた。
しかし、米LPGAのサイトの記事を改めてみてみると、馬場がランキングで15位以内に入るためにはこの試合に優勝する以外には可能性がなかったようだ。訂正してお詫びしたい。しかし、最終日を2位タイからスタートした馬場にはそのチャンスは大いにあったが、3バーディー、2ボギーとスコアを1つしか伸ばせなかったことが悔やまれる。
馬場は今後年末にかけておこなわれるQスクール(予選会)に出場し、米LPGAツアーカード獲得を目指すものと予想されるが、まだ20歳と若いので一発勝負でカードを手に入れるよりも、もう1年じっくりとエプソンツアーに取り組んで、ゴルフだけでなく言葉を含めたアメリカという国の文化を理解しながら、ゴルフに取り組んでいく道を選択することも可能だ。
ゴルフはグループの中に入って4、5時間かけてラウンドし、予選を通過すればそれを4日間続ける。英語が聞き取れません、しゃべれませんでは立ち行かなくなる場合が出てくる。救済の受け方について、同伴競技者が異を唱えれば説明したり、同意を得なければならないこともあるだろう。
ルールに関してコミュニケーションがとれない状態では、海外メジャー大会に1試合だけ出場する場合など短期戦であればなんとかしのげるかもしれない。しかし、シーズンを通して米LPGAツアーでプレーをしていくのであれば、そんな状態では選手として認めてもらうのは非常に難しいと思われる。
多くの日本女子プロの選手が、メジャータイトルを手にしたいとアメリカのツアーに挑戦している。近年ゴルフの技術は高くなってきているのであろうが、英語の力はどうですかと聞いてみたい。米ツアーで1勝あげればいい、メジャー大会で優勝できればいい、そんな気持ちで勝ったとしてもタイトルをただ持ち帰っただけ、言ってみれば「勝ち逃げ」と米ツアー関係者はみなすであろう。そんなことでは米ツアーの信頼を得ることはできない。
メジャータイトルを獲得することは、選手として本当にすばらしい偉業である。個人にとっては大変名誉なことで、ゴルフの歴史に間違いなく名を刻むことができる。しかし、メジャーをとったことによって生まれてくる責任というものも同時に理解しなくてはならない。
あなたのプレーや生き方はメジャータイトル保持者としてふさわしいものですか?タイトルの名をけがしてはいませんか?常に自問し、研鑽し自分をたかめる努力が求められる。
そのためには、英語を理解することによって、まずプレーをする選手とのコミュニケーションをとり、ツアーや競技役員に対しても必要最低限の説明ができる英語力を身につけ、自分のことをツアーや同伴競技者に理解してもらう必要がある。理解してもらえれば、不要な誤解を生じさせることもなくなり、選手としての信頼を得ることができるだろう。
ゴルフのスキルだけではなく、アメリカの社会でコミュニケーションをとりながら相手を理解し、相手から理解してもらえることが大切である。