久常 昨年優勝した大会を欠場

今週DPワールドツアーでは、フランスのナショナルオープンである「フランスオープン」が開催され、いつものコース(Le Golf National)が舞台だが、8月のパリオリンピックでは会場となった池が随所に効いたコースだ。

そして、昨年のこの大会で優勝したのは久常涼である。彼にとってDPワールドツアー初優勝で、ヨーロッパの地で優勝したのは青木功についで2人目となる快挙だった。

10月10日(木)から始まる大会の出場予定者のリストをみると、久常の名前がない。久常は今週米PGAツアーの大会「ブラックデザート選手権」のほうにエントリーしている。

昨年の大会に優勝していれば、そしてそれがツアー初優勝であればなおさら、今年の大会は何よりも優先させて出場しなくてはならないのではないか?出場して大会主催者やスポンサーに対してあらためて謝意を示さなくてはならない。

久常の場合は、昨年の「フランスオープン」の優勝で獲得したポイントが大きく働いて、米PGAツアーカードを手に入れることができ、今年米PGAツアーでプレーすることが可能になった。

日本LPGAの例だが、前年の大会に優勝しながら2023年の「ダイキンオーキッドレディーズ」を欠場し、別の大会へ出場した西郷真央に対して、日本LPGAは規定に抵触するとして100万円の罰金を科した。当然であろう。

前年度優勝者は、次の年の大会に出場しプロアマ戦に出場したり、前夜祭が催されれば出席しなければならない。もちろんディフェンディングチャンピオンとして試合前の記者会見がセットされているはずだ。これらは優勝したことによって発生した優勝者の責務である。

大会を運営するツアー関係者、開催コース役員、スポンサー関係者があってこそ、選手は試合に出て優勝を狙うことができる。そのことをないがしろにしたり、めんどうくさい、英語での対応が厳しいなどの理由で欠場することがあってはならない。

久常の行為は7日のブログで書いた「勝ち逃げ(勝ってもあとのことはほったらかし)」にあたり、こんなことをしていてはツアー関係者、ツアー選手からの信頼を得ることができないだろう。また同時に日本人選手も評価も下げてしまう。悲しいことだ。

自分の力がどこまで通じるか試してみたいという気持ちで、日本から世界に挑戦していくことはたいへんいいことだと思う。最初は「勝ちたい。勝ちたい」という気持ちだけでプレーするのは致し方ないとしても、幸運なことに努力が報われて1回でも優勝することができたなら、周囲への配慮、感謝の気持ちをもつ習慣を身につけないと、なかなか2勝目、3勝目にはつながっていかないだろう。