カジュアルウォーター

今季メジャー第3戦「全米オープン」の最終日は、バックナインに入って1時期5人の選手が首位に並ぶというまれにみる大接戦となった。

その中のひとりで、初のメジャータイトルを狙うアメリカのサム バーンズ(28歳)には、厳しいルール判定が下され、その夢が絶たれてしまった。

試合は最終組がフロントナインの後半をまわっていたときに、強い雨のために約1時間半中断し、コースにたまった雨をメンテナンスクルーが取り除いてから試合は再開された。

首位に並んでいたバーンズは15番(パー4)のティーショットを放った。ボールはフェアウェーにとどまったものの、ファーストカットにもたれかかるように止まった。2打目を打つときのファーストカットによる干渉よりも、その地点はまわりより低いところでフェアウェーが雨を多量に含んでいたことがバーンズにとっては問題だった。

バーンズはフェアウェー上なのでカジュアルウォーターからの救済を受けようと競技員を呼んだ。しかし、競技員の判定は、カジュアルウォーターと認められるほどの水はたまっていないので、その場所から打てというものだった。

納得がいかないバーンズは、セカンドオピニオンとして別の競技員を呼んで判断をあおいだ。しかし最初の判定はくつがえらなかった。

バーンズは仕方なくその場所から第2打目を打ったが、打球はフック気味となりグリーン左手前の深いラフに入ってしまった。3打目でグリーンにのせることができずに結局このホールをダブルボギーとして、優勝戦線より脱落してしまった。バーンが打った地点のライを撮影したのが以下の動画

バーンズのショットを移したのが次の動画

https://twitter.com/i/status/1934394347442647300

インパクトの瞬間にボールとクラブの間に水があれば、クラブフェースのグルーブ(溝)がしっかりとボールを捉えることができないので、放たれたボールはコントロール不能状態に陥ってしまう。バーンズの打球はまさにそうなってしまった。テレビ中継の解説者もこのルール判定には疑問を投げかけており、バーンズにとっては不運な判定だった。

メジャー大会のバックナインで首位に並ぶという機会は、世界のトッププロであったとしても競技生活のなかで何度も訪れることではない。バーンズはその絶好の機会を自分のミスではないかたちで失ってしまった。バーンズにそんな機会がまたいつか必ず訪れることを祈りたい。