スコティー シェフラーの記者会見

今季最後となるメジャー「全英オープン」の大会前記者会見に、現在世界ランキング1位のスコティー シェフラー(29歳)が登場した。シェフラーは2022年3月から少し中断はあるものの、今週で通算148週間1位の座を維持し続けている。

今シーズンは昨年末に手首を負傷して、スタートが遅れはしたものの、「全米プロ選手権」を含め3勝をあげ、この大会も優勝候補に筆頭に挙げられている。

取材する側としては、今季メジャー2勝目にむけた意気込み、現在の仕上がり具合についての回答を期待していたのだろうが、かなり哲学的なものとなってしまった。

「試合に出て優勝することは、達成感からくるこころの充実を感じることはできるが、こころの深いところで感じる充実感というものはない。多くの選手が優勝を目指すが、自分のように優勝することができて世界1位の位置に達したときに、だからどうなんだという気持ちになってくる。」

「なぜメジャー大会にどうしても優勝したいと思うのか、今自分にはわからない。ゴルフが大好きで毎日毎日激しい練習をして、優勝というごほうびをもらうことも大好きだ。しかし、優勝したとしてもその優勝の喜びはその時のわずか数分間味わうことができるだけで、だんだん薄れていってしまう。」

シェフラーの場合、ゴルフが好きだ、トーナメントで優勝したい、いつかは世界1位になりたい、グランドスラムを達成したいと考える多くのゴルファーとはすこし異なるようだ。

このコメントは、世界ランキング1位に君臨することや、周囲から当然のように優勝することを求められることから生じる重圧の苦しさから発せられたコメントではなく、ひとりの人間として人生の意味を深く考察するなかで生じた疑問のように思われる。

そんな疑問を胸にかかえながらプレーするシェフラーであるが、いざ大会がはじまると上位に顔を出し、最終日に優勝を狙える位置にいることは間違いなさそうだ。なぜなら、シェフラーの精神力、技術は世界ランキングが占めすようにナンバーワンなのだから。