世界からトップ選手が集まって競われる米PGAツアーでは、本当に多くのドラマが生まれ、われわれファンをさらに引き付けてしまう。
プレーオフの初戦となった「セントジュード選手権」は、最終日イギリスのジャスティン ローズ(45歳)とアメリカのJ.J.スポーン(34歳)のプレーオフとなり、プレーオフ3ホールめにバーディーを奪ったローズがスポーンをくだし、米ツアー通算12勝目をあげた。
ローズは昨年の「全英オープン」で2位タイの成績に甘んじた。また、今年の「マスターズ」はローリー マキロイとのプレーオフになったが、その第1ホール目バーディーを奪ったマキロイに涙をのんだ。優勝すればローズにとって、2013年の「全米オープン」以来となる2つめのメジャータイトルになるはずだった。
プレーオフシリーズという大きな大会での今回の優勝は、2年連続してメジャーで2位に終わったくやしさをバネに、ハードな練習を重ねてきた結果なのだろう。ローズのメジャーでの負けを記憶しているファンにとっては、ローズが過去の借りをきちんと返したのを見届けることができ、とてもこころが熱くなる。
また、今回敗れたスポーンのほうにもドラマがある。ちょうど1年くらい前から急に調子をあげてきたスポーンは、ことし3月の「プレーヤーズ選手権」で、ローリー マキロイとのプレーオフに持ち込むことができたが、マキロイにあっけなく敗れてしまった。その負けたくやしさが間違いなく精神的強さとなって、6月におこなわれた「全米オープン」では見事優勝を果たし、メジャー初タイトルを手にした。
ローズはかつて世界ランキング1位の座に君臨したことがある。またゴルフが競技としてオリンピックに復活した2016年リオ オリンピックでは金メダルを獲得した。コロナが蔓延して欧州女子ツアーの試合がまったくなくなり、開催のめどもまったく立たなかったときに、選手たちのために私費を投じてトーナメントを数試合開催したこともある。
ローズはこの優勝で、世界ランキング9位まであがってきた。45歳とはいえ、今後の活躍、特にメジャー大会で活躍を期待したい。